F・ノート19

 もう一度書く。
 公園テント住人の排除に反対する人たちは、例えば、公権力の側の者らが、住人の留守中にテントや中にある家財道具までを壊したり焼却したりすることに、もちろん憤慨する。
 施設に入れといわれても、数ヶ月後には退去を要求されるし、入居条件としてテントと荷物の放棄を強要されるということにも、もちろん憤慨する。
 にもかかわらず、排除に反対する人たちの多くもまた、テント住人たちを「ホームレス」あるいは「野宿者」と呼ぶ。マスコミの使う通称を借りているに過ぎないというのでもあろうけれども。
 だが、家財道具の配置されたテントは「ホーム」である。テントと家財道具を放棄させて施設に入れることこそ、住人から「ホームを奪う」行為である。公園テント住人はホームレスではない。住んでいるテントから追い出されることで、ホームレスにさせられるのだ。
 あるいは、彼らは、テントや段ボールの「家に住んでいる」のであって、野宿しているのではない。