どっちやねん

 冷蔵庫が二つあって、韓国製の小さい方は、上の冷凍庫にグラスが凍らせてあり、それを出すときは下からも出すという、まあそういう専用庫なんですが、で、もうひとつの3ドアの方を、普通のメインにしています。ところが、両方とも、やたら丈夫なんですね。忘れるほど前に買って、引っ越しも3回。なのに、どこも悪くないのです。
 もちろん、燃費というかランニングコストは大変高いのでしょう。だから、大方の方は、「いい加減に買い替えた方がいいよ。その方が却って安くつくんだから」、と、呆れて忠告されると思います。で私もその気にはなっていたのです。ただ、面倒くさい。「今日しなくてよいことは今日しない」ということをモットーにしている私としては、なかなか腰が重かったわけです。
 ところが、このたび、「エコ・クーポン」とかいうものが発足したそうですね。何でも、冷蔵庫のような大きいものでは、省エネ新型のものに買い替えると、数万円とかのお金を国が負担してくれるとか。う〜ん。「ほら買い替えろ、金を出してやるぞ」とおカミにいわれて、「分かりました。仰せの通りにします。ありがとうございます」、なんていうのはシャクだから、これでまた、買い換えのタイミングを逸してしまいました。
 大体おカミは、「エコ」というのは「モッタイナイ」だ、といっていたのではないでしょうか。それに、ランニングコストは下がるとしても、新型を開発製造し、流通宣伝販売するのに、どの位のエネルギーと資源を使うのでしょうか。さらに、使える旧型を回収し処分する方にもエネルギーが必要です。それらのプラスと、ランニングの新旧差のマイナスとを、差し引きしてどうなのか。そんなことには口をつぐんで、「とにかく買い替えろ」。
 昔「モッタイナイ」、今「買い替えろ」、一体どっちやねん。
 そういえば、エコ車補助+高速ETC千円というのもありますね。エコってのは車に乗らないことだといっていた筈のおカミが、「不要機器を買って取り付けて高速を新車で走れ」ですからね。「パイブリッドだ電気だ、電気を使え。電気が足りなきゃ原発あるでよ」。
 車に乗らないのがエコか、どんどん車を買い替えてどんどん高速を走るのがエコか、一体どっちやねん。
 ともかくおカミの口車は信用できません。