空気について 8

 もちろん、例えば日本がオワっても、さしあたり困らない連中がいる。正確には、困らないと思っている、ということなのだが。誰か忘れたが(というより覚えているべきような輩ではないし、彼だけではないが)、こんなことを言っていた。「格差社会というが、格差というのは金持ちと貧乏人の間にあるのじゃない。日本なんかに囚われずに世界に出てゆけるグローバルなスキルをもった行動人と、地方再生などといいながらローカルな日本で地道に沈んでゆく他ない者と。格差というのはその間にあるのだ」、と。
 自分は後者でしかないという不安が空気を吐き出す。東京弁は話せんし何の取り柄もないが、ここでなら何とかやってゆける。死ぬまで、ここでやってゆく他ない。
 才覚のある連中は都会に出て行って地元に人が少なく、逆に都会から来た大型店が地元の商店を潰す。(続く)