見たくないものを見る

 断りきれずに、zoom会議なるものをしなければいけなくなった。会議ではなく打ち合わせということなので、余計に困る。大体、会議とか打ち合わせとかの席では、誰でも普通、資料を見ている。というより、資料を見ているというポーズさえとっていれば、心がどこかに行っていてもよい。よほどの事項でなければ、適当に聞いて、適当に相槌を打っておけば足りる。
 しかし、zoomとなるとそうもゆかない。だいたい相手も自分も、それぞれカメラまでの距離が近いので、すぐ向かい合わせに顔が見える。近距離でなど見たくない顔を、見ないといけない。目線を外しっぱなしというわけにもゆかないだろう。
 もちろん、取るに足りない悩みだし、在宅ワークそのものは、少なくとも私には大変ありがたい。
 しかし、自粛が解除されても、在宅ワークで味をしめた企業の中には、オフィスのフロアを縮小する動きもあるのだとか。何のことはない。社員の住居の片隅を、会社に提供させようという魂胆らしい。