銀河鉄道

monduhr2006-10-19

 松本零士槇原敬之がもめているらしい。槇原の歌詞の一部が、『銀河鉄道999』の星野鉄郎のことばに「そっくりだ、謝れ」と松本が抗議したので、レコード会社幹部が訪れ、意図的ではないが記憶の断片にあったのかもしれないと謝罪したとのこと。せめてその辺りで止まればよかったのだが、松本が「本人の口からきちんと謝れ」といったもので、槇原も「そこまでいうなら、法廷で争ってもいい」と反撥。全面対決の様相だという。
 「夢は時間を裏切らない / 時間も夢を決して裏切らない」(槇原)と、「時間は夢を裏切らない / 夢も時間を裏切ってはならない」(松本)か。・・・なるほど、確かに似ている。「そっくり」だといえば「そっくり」だ。
 しかし、大人げない話ではある。
 槇原は槇原で、「そこまで盗作呼ばわりされたら、先生の“銀河鉄道”というタイトル自体、先人が作った言葉ではないのかと言いたくなる」といったとか。それもまた大人げない言い返しであるが、しかし確かに、「銀河鉄道999」は「銀河鉄道の夜」がなければありえない作品であることは誰もが知っている。
 先日の哀れな「こっそり剽窃」画家などは論外だが、宮沢賢治の物語が松本零士のマンガを触発し、松本零士のマンガが槇原敬之の歌を触発する・・・結構なことではないか。
 「知ってて使ったのですか。サビの部分、私のマンガとそっくりですね。」「あ、そうなんすか。・・・記憶の中にあったのでしょうか、知らないまま、思わず使ってしまいました。」「いやいや、いいんですよ。光栄ですなあ。若い人に無意識に使ってもらえるとはねえ。大体、私の銀河鉄道999という題名も、汽車が夜空を旅するというアイデアも、宮沢賢治の借用ですからね。こちらは知っててやったんですから、いうならばパクリですわ。ははは。芸術はパクリですからなあ。パクリ種をもとに、どれだけのものを創造できるかが勝負ですよ。」「はあ、じゃあ私も、せいぜいマンガを読ませて頂きます。」「そうそう、大いにパクッて、いい歌を作ってください。」
 ・・・てなことにならないのかねえ。ならないのだろうなあ。