2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

 武士道について13:殉死願

一部上場記念パーティーの会場で、突如一人の暴漢が社長を襲い刃物を突きつけます。近くにいた役員連中はもちろん駆け寄った警備員も下手な手出しができずに一瞬躊躇したその時、一人の女性がつかつかと近づくと、社長と男の間に入って刃物を自分の身体で受…

 武士道について12:愛人として死す

社内クーデター的に鍋島コーポレーションに組織替えする前、龍造寺組だった頃の組長家兼は、仁義に反して主君筋の大組長を裏切って自害させ、次の隆信組長もまた、恩義ある蒲池組を騙し討ちにしてシマを乗っ取ってしまいます。こうした余りの非道さ故に、龍…

 武士道について11:愛人秘書道

戦国の世には、主君に対する最大の奉公は戦功をあげることでしたが、そんな時代はとっくに過ぎ去っています。今や藩という地域支配の会社に貢献する道は、例えば、氾濫の絶えなかった河川に堤防を築く大工事を指揮して遂に完成させたり、備蓄倉の配置を提案…

 武士道について10:愛人秘書の道

そういうわけで、『葉隠』を書いた(実際には聞書ですが)山本常朝という人は、太平の世に堕落した今風の武士ではなく、古武士然とした眼光鋭い剣の達人・・・ではなく、実際には虚弱児に生まれた文弱ヘナチョコだったようです。 「武士道と云ふは死ぬ事と見…

 武士道について9:官僚の道

そうそう、『葉隠』のことが残っていました。 新渡戸の『武士道』と違って、分量が多いし、雑多な短文の集りだし、多分、最後まで読んだ人は極く少ないのではないでしょうか。葉隠といえば有名な「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という一節は、はじめの…

 武士道について8:ゴロツキの道

「武士道が武士の道徳を指す言葉として一般的に用いられるようになったのは、明治以降である」(国史大辞典)。新たな言葉が作られて拡がるということは、新たなイメージが作られて拡がるということです。で、そのイメージですが、「武士道」といえば、清廉…

 武士道について7:デモクラシーは「腹の中」

大した内容のないことばかりで申し訳けありません。乗りかかった船ですので、あとは簡単に。 ◯ デモクラシーは国の色合 デモクラシーは決して共和政体の意味にのみ取るべきものでな(く)、寧ろ国の品性もしくは国の色合ともいいたい。〜僕のしばしば言うデ…

 武士道について6:「武士道」は「平民道」

新渡戸「平民道」の続きです。 ◯ 平民道は武士道の延長 〜僕は時代とともに始終考えを変えて行くように聞えるであろうが、〜根本的の考えは更に変らない〜 (現在では、士といっても)〜学士を始として代議士もあれば弁護士もある。〜国士もあれば弁士もある…

 武士道について5:「武士道」と「平民道」

連日何万人ものデモが続いた韓国では、大統領が罷免となりましたが、こちらでは、アベを守れ省庁を守れと懸命にバリアをはる力が<強く>(結局それは人々が権力に<弱い>というでしょうが)、森友学園が悪い理事長がおかしいという方向に流れができてゆき…

 武士道について4:「武士道」という新語

というわけで、新渡戸の『BUSHIDO』は、あくまで西洋人向けに英語で書かれたアピールでした。 特に日本史の専門家でもなく、しかも今いるのはアメリカで、当時はネットで調べることなんかできませんから、手元に何の参考書もない。それでもいいのだ。どうせ…

 武士道について3:野蛮人と文明人

新渡戸が『武士道』を書いたのは、1899年。日清戦争と日露戦争の間です。 日清戦争は、いうまでもなく清国との戦争です。相手は、衰えたりとはいえ東洋の大国、眠れる獅子。西洋人たちは、とても日本が勝つとは思っていなかったでしょう。ところが、小さい島…

 武士道について2:士魂と洋魂

大体、『武士道』の新渡戸も『葉隠』の山本常朝も、一筋縄では捉えられない「ヘンなオジサン」で、とても、「失われた過去の気風(美風)」を紹介するというような単純な話ではありません。 先ず新渡戸から。 「和魂洋才」あるいは「士魂商才」という言葉が…

 武士道について1:売り込み戦略としての「道」

(「帝国の慰安婦」という題をつけながら、肝心の本を読むのはこれから、というところで、当然まだ<続く>のですが、飽きてきたので、別のことを挟みます。というか、大体、寝る前に日記を書くような感じで適当なことを適当に書いているだけですから、どう…

 トランプ・アズ・ナンバー・ワン

マジシャンのトランプマンではなく大統領のトランプさんの方ですが、評判が甚だよろしくありません。大勢の人が、怒ったり呆れたりしています。当然のことです。何より、移民や難民の受け入れを中止したり制限したりするのはよろしくない。それはいけません…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性24 

確か先週、ラ・ボエシの「自発的隷従論」の文庫本が平積みされているのを見かけ、見かけただけで買わなかったのですが、今日たまたま斎藤美奈子の「文庫解説ワンダーランド」という岩波新書を買ってみると(相変わらず面白い)、ちくま学芸文庫「自発的〜」…