2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

 2-17 帰龍

さて、脱線が過ぎた。龍野中の修学旅行も最終日となる。 一行は、和歌浦周辺を徒歩見学し、再び南海電車で天王寺に戻り、明治記念博覧会で、現代の「忠臣」乃木自害の軍服など見る。そして、梅田から山陽線に乗って網干に6時半に帰着、そこで解散する。 往…

 2-16 台風と大畸人

ところで、「行人」には、主人公二郎が嫂と二人で和歌山の宿に泊まることになるという、重要なエピソードがある。たまたま台風に襲われて、和歌浦にいる母と兄のところに戻れなくなるのだが、その描写も、講演時の経験に基づいている。 講演が始まった時点で…

 2-15 開化と神経衰弱

有名な講演内容については、改めて詳しく紹介するまでもないだろう。(原文→青空文庫。または、→こちら、の方が読みやすい)。 現代の日本の開化は〜一般の開化とどこが違うか。〜私はこう断じたい、西洋の開化は内発的であって、日本の現代の開化は外発的で…

 2-14 田舎町

さて、「行人」の一行は、和歌山市に着いて路面電車に乗り換える。 以前に触れたように、「江戸人」漱石は、松山はもちろん熊本でも、こんな田舎から早く帰りたいという気持ちを隠さない。小説とはいえ、ここ和歌山でも、主人公の目に映るのは「田舎」の風景…

 2-13 食堂車

「行人」は、主人公が「梅田の停車場(ステーション)を下り」たところから始まり、前半は大阪で物語が進行するのだが、途中で彼は、兄夫妻たちと一緒に和歌山へ小旅行に行って、そこで「牢屋見たい」なエレベーターに乗ることになる。ということで、大阪か…

 2-12 牢屋みたいなエレベーター

「綿ネル」という一言にこだわり過ぎた。修学旅行に戻る。 和歌山市駅で南海電車を降りた一行は、今度は路面電車に乗り換え、「夜を圧するやうに和歌山城が聳えて」いるのを見ながら、和歌浦の「望海楼」に着いている。東京の路面電車は既に走り出していても…

 2-11 南海の工業地

一世を風靡した白戸三平の名作『カムイ』では、養蚕とともに綿栽培が村を変えてゆく。そのことで村は豊かになるが、それは商品連関の中に組み込まれて行くことを意味していた。舞台の花巻村は、中学生たちが乗り換えた浜寺に遠くない辺り(岸和田藩)に設定…

 2-10 綿ネル

さて、中学生はここで、「穏柔な濃い情緒の南国の町和歌山市」を想起するに当たって、「澤山出る蜜柑」と「他人種が好んで身につけるといふ綿ネル」という、二つの物産を挙げている。古来、聖地を抱え込む温暖湿潤な熊(隈)野の深い森林は、古名「木の国」…

 2-9 八咫烏

もう一度書くが、今風の観光なら伊勢奈良の次は京都だろうし、天皇で通すなら浜寺近くの仁徳天皇陵に行く手もあっただろうに、何故播州龍野の中学生一行は、わざわざ紀州和歌山へ行ったのか。 自分の土地の悪口をいわれても怒らずに笑うのは紀州和歌山の人と…

 2-8 南海ホークス、ではなく

水島新司氏の「あぶさん」景浦安武は、ホークスが福岡へ移ったときも引退しなかったが、流石に昨年、現役引退と伝えられた。だがなお、「釣りバカ日誌」や「三丁目の夕日」に並んで続いている連載の中で、現役37年でいるらしい。 彼の長男は阪神の投手になっ…

 2-7 南海、浜寺

閑話休題。 普通、県庁所在地は県の中心近くにあるが、和歌山県の県都和歌山市は大阪府に接しており、現在、大阪市と和歌山市の間には南海電車とJR阪和線という2つの路線があって、それぞれ1時間以内で両市を結んでいる。平行する二つの鉄道の間には長年の…

 2-6 奈良、和歌山

さて、龍野中生一行に戻る。彼らがゴダイゴの山に登った13年は、水戸学から幕末尊王論へと受け継がれた南朝正統論が、議会決議によって、改めて国家的に公認された時期に当たっていた。 もちろん、皇国史観の国家的正当化については、南朝正統論の公認で事が…

 国外はダメ、せめて県外へ

ニュースから。 ○「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」の民主党議員らは、テニアンとサイパンを視察し、グアム州知事と北マリアナ連邦知事から、「基地はぜひテニアンに移して欲しい」という、鳩山首相宛ての親書を預かって来た。この親書には、13日に来日して…

 2-5 伊勢、奈良

龍野中生の旅を追おう。 早暁網干駅を発った汽車は山陽本線を走って梅田(大阪)に着く。そこで城東線(現環状線)に乗り換えて、天王寺へ。そして一行は、天王寺発8時40分の鳥羽行きに乗り、多分車中で弁当を食べたであろう、1時半に山田駅に着いている。…

 2-4 網干発

少しお詫びしておきたい。醤油の話は単なるマクラである。暁の播州龍野を出発した少年が、伊勢奈良を回って紀州和歌山へ立ち寄ったという話をしようとしているだけで、播州と紀州といっても、この少年には薄口醤油も溜まり醤油も関係はない。 それに、書き方…

 2-3 龍野

江戸時代から紀州湯浅とともに有名であった播磨龍野であるが、龍野の薄口醤油は、消費の中心地であった上方へ、どのように運ばれたのだろうか。醤油発案時には天領であった龍野は、数年後に脇坂藩となって、そのまま幕末を迎えるが、揖保川沿いの鶏籠山に城…

 2-2 醤油

行く先のない漂流だが、醤油からはじめている。 さて、生まれを日本に決めると、醤油は味噌の溜まりから、ということになるようだ。 教会内で多発した子供へのレイプ事件については、ようやく法王が謝罪したらしいが、それは極端な破戒にしても、戒律の必要…

 昔の時代 2-1

やれやれ。・・・今の話はしばらくやめることにする。 また、昔を散歩でもしよう。 もう3年も前になるが、同じことばで書き出したことがある。「1-1:明治30年または1897年」という題で始めた駄文(→ここ)なのだが、行く先のないまま2ヶ月漂流を続け、33…

 沖縄県内でお願いします

「やはり、自民党様が正しうございました。学べば学ぶほど、自民党様の案より他にはないということを、今さらながら身に沁みて痛感致しております。自民党様の長年のご苦労も知らず、全く不勉強のまま至らぬことを口にして、いらざる混乱を招いてしまいまし…

 合掌

もはや今さら、いうこともありませんが。 手詰まりだめ詰まりの底の底をステップボードに乾坤一擲、既に問題部隊の大部分をグアムに移すことを決定しているアメリカに、残り僅かのお引き取りを迫るというストレートな策にでる、という明るいストーリーは、ま…