2012-01-01から1年間の記事一覧

 「サルトルとボーヴォワール」蛇足

何となく書き始めた駄文を前回で終わるつもりのところ、最後に「正解」という言葉を書きつつ誤解があるかもしれないと思い付き「あと1回」としたのですが、そのままになっていました。少しだけ付け足しておきます。誤解なき方には蛇足なのですが。 この映画…

 「サルトルとボーヴォワール」終わりのつもり

○「女になる」 この映画にこだわり過ぎ。これで終わります。 繰り返しますが、あくまで<映画の中>の話です。 後半、ビーバーが講演旅行に行ったアメリカで、今までとは全く異なるタイプの作家が彼女の新愛人として登場することで、映画はガラリと変わりま…

 「サルトルとボーヴォワール」続きの続き

○「哲学」と「愛」 1本の映画のことを、こんなに長く書く程のことはないのですが、書きかけた以上、肝心の問題を放置したままというわけにはゆきません。 この映画は、副題が「哲学と愛」となっています。 いわゆる「大きい物語」の失権消滅という最近のい…

 「サルトルとボーヴォワール」続き

○言葉と暴力 前回書いたことは、もちろん批判でも非難でも全くありません。たとえ、「小市民にはなりたくない」というのは、実は「小市民の貴族になりたい」ということであったとしても、小市民の貴族である作家だけが、(実際はともかく)「自由」な存在と…

 映画「サルトルとボーヴォワール」

DVDを貸してくれた人があって、「サルトルとボーヴォワール」という映画をみました。何か言葉を添えて返したいのですが、この映画はどう見ればいいのか、落ち着きが悪く、少々困っているところです。ここを借りて、少し書いてみたいと思います。 といっても…

 『提督回想録』(抄訳の4)

(承前) 気が付くと、二人の会話は、絵の話からドラマの話に移っていた。西洋近代の額縁演劇では観客は舞台空間を逆消失点から覗いていることになるので登場人物は視野の中に突然現れる、といった話は、士官学校で遠近法の勉強をしたので何となく分かったが…

 ふくしまは、元気です。

TOKIOが桃を食べるふりをしているだけに見えるCMがあるそうですね。「ふくしまは、元気です。」というCM。 TVでじかに見たわけではありませんが、動画をネットで見ると、「なるほど」です。(→「ざまあみやがれい」9月2日) また、新聞にも全面広告が…

 闇から幽霊

「大津いじめ」事件が、大きく取り上げられています。こういう事件を何とかとめたいというわけで、学校や市教委の対応を批判しつつ再発防止の提言をしたり、いじめが多発する社会状況を分析したりするだけでなく、多くの有名人が、今もいじめられている子供…

 闇深く

イラク派遣の空自隊員が国を提訴する、というニュースが、今日の各新聞にありました。(Web版による)。 よく知られているように(でもない?)、アメリカの戦争というのは、どんどん民間「戦争業者」に下請けさせるわけです。怪我したり死んだりしても、国…

 『提督回想録』(抄訳の3)

(承前。1回の予定を越えて長くなっています。山本美香氏の訃報を聞くにつけても、こんな抄訳駄文を引き延ばすのは気が引けますが、乗りかかった船。申し訳けありません) 「いえ、さきほども笑われましたように、私は、お二人のような日本文化についての教…

 『提督回想録』(抄訳の2)

(承前)「ところで、白が違うというお話でしたが・・・」。「ああ、そうでしたね。ともかく、お国の、いや西欧の白は、appear、外に出ようとする白、輝く白です。ところが、日本の白は、外に出て輝くのではなく、いわば内に沈むのです。舞妓の白も、一方的…

 Pinkerton『提督回想録"the Memoirs of an Admiral"』(抄訳)

(承前)『回想録』第3章より「(前略)その時、異様な人影が歩いて来るのに気付いた。近づくにつれ、どうやら伝統的な着物を着た少女であるらしいと分かったが、異様なのはその顔である。人の肌というよりスタッコ壁のように白い。道がそれほど広くないの…

 筋肉祭り

人なみ以下ながら一応「なでしこ」など応援していますが、競泳女子400m個人メドレーで、世界記録で優勝した中国の葉選手が、最後の50mで男子優勝のロクテ選手を上回るラップタイムを出し、ドーピングではという根拠のない疑いの声さえあがったようです。 オ…

 エリスだって分かりませんよ

ビスマルクの宰相在職は1871年から90年までですから、1884年から88年までのドイツ留学と90年の舞姫発表は、ちょどそこに入っています。 しかも、鴎外は、ただの留学生ではありません。ドイツ陸軍の衛生制度を調べよという指令を受けて陸軍省から派遣された鴎…

 か程に多き路用

(承前)思わぬ回り道をしてしまいました。 舞姫が妊娠させられて捨てられるのはフィクションですが、鴎外帰国の直後に若い女性が来日して森家と一悶着あったことは現実の出来事です。ご承知のように、小説「舞姫」は、その一悶着のイイワケだろうとされてい…

 鴎外の墓碑銘

(承前)肩書き不要という遺書で、「体制エリートとしての権威も名声も、彼にとっては不本意な仮の姿だった」と、名声とみに高いようですが・・・ 鴎外ほどの手練れが、「自らの遺言が<名声にこだわらないという名声>を高めることになる」ということを見通…

 服を褒める

(承前)私たち日本人が馬鹿にしつつ怖れる国、近くにありながら外交関係もない国、そんな国で、「舞妓」という小説が書かれたとすればどうでしょうか。当時入港できた交易船の高級船員として上陸入国した主人公の軍人が、京都で美しい舞妓から「助けてくだ…

 痛快小説「舞姫」

(承前)前回のおまけ→「繁く逢ふのは」、うめ吉姐さんです。 さて、主人公豊太郎氏の行動は、高橋先生の学生さんの評通り、どうしようもなくジコチュー不誠実ですが、何しろ文豪ご本人のアバターですから、言葉巧みにイイワケに次ぐイイワケで、全てが責任…

 兵器のリスク

今日、オスプレイが陸揚げされるとこのと。安全性への懸念を無視しての強行配備である。 ところで、オスプレイは、米軍で、2つの名前で呼ばれているらしい。 「米軍が配備を進めるV22オスプレイは、世界で唯一、実用化に成功した垂直離着陸(VTOL)…

 薄幸なる舞姫

世の中の「大事は前に横りて洵に危急存亡の梅雨明けなるに」、こんなどうでもよいことを書いていて気が引けますが、ともかく舞姫のことでした。 しかし結局、あのお話は大した裏表があるわけでなく、一言でいってしまえば、下心の交錯悲劇に何重にも重ねられ…

 舞妓と舞姫

自分としてはそちらの方こそを名乗りたいと思っていても、世間では「ボランティア」とか「アマチュア」とか「趣味」とかいわれ、「本業」としては認めてもらえない。そういった場合の決め手となるのは、いうまでもなく<稼ぎ>です。 そういうことでいえば、…

 船賃と舞妓

ところで、またまた前回にはつながってはいないのですが、ご承知のように高橋氏は明治の文人に親しく、教師をされている大学で、今時の学生に、「金色夜叉」の映画を見せては苦笑失笑爆笑を買い、「舞姫」を読ませては「ジコチュー」でおしまいにされ、とい…

 神様と赤ワイン煮

つながりのない西瓜、Tシャツの話は保留して。 シャトルが引退してアメリカには船がなくなり、ソユーズがめでたく打ち上がったそうですね。一昔前なら国家的沽券に関わると大問題になったと思われますが、平和で何よりです。ところで今回は、宇宙基地から超…

 Tシャツ

前回とつながってはいないのですが、高橋源一郎氏の『ニッポンの小説』が分厚い文庫本になったので読んでみました。とても面白かったのですが、その後半に引用につぐ引用の荒川洋治氏の文芸時評も面白そうだなと思い、最近は便利なことにすぐ分かって古書で…

 スイカ

なんだか長ったらしい名前の党になるとかならないとかいう噂ですが、それならいっそ、「脱官僚どころか内政は財務省の外交は外務省つまりは国務省のいいなり傀儡政権の公約全面裏返しにあきれ、かといって旧に帰るのでは元も子もなく、新に変えると叫ぶ大阪…

 AKB48、古さに拍手!

新聞に大きく「総選挙」と出ているので、何かと思えば、AKB48でした。 もちろん特に見たことも聴いたこともありませんが、今のご時世、嫌でも多少見えたり聞こえたりはします。それにしても売り方がうまいですね。いうならば育成ゲーム。自分が育て上げ…

 悼:吉本隆明

ネットで眼鏡まで買って、天候も悪くなく、目も覚めていたのに、時間を間違えて、かじりかけ煎餅状態を見ただけでした(^o^)。どうせその程度の意識だったのでいいのですが、間違えて教えた人に悪いことをしました。というように、どうも最近調子が乗らないの…

 迎春

新しい年になりました。 少しひっかかっていることがあって更新が中断したまま、年が明けてしまいました。 昨年は、激動の1年でした。今年は静かで平和な年であってほしいものですが、内外共に、期待できそうにもありません。 ところで、年末に、1年を振り…