2010-01-01から1年間の記事一覧

 ニイチェ、見下す気分

本屋で、ニイチェのでかい顔のある、でかいポスターに出会ってぎょっとした。気が付くと、新聞にも大きな広告が出ている。現物は見ていないが、ニイチェ論ではなく、箴言をアレンジしただけで、誰かが大いに儲けているらしい。目先の効く編集者、アレンジャ…

 柔(やわら)

のんきに相撲のことなど書いているうちに、参院選が予想通りに終わりました。 最近寝惚けているという噂の田原総一郎氏ですが、先日正気に戻って、いま政治家といえるのは小沢と亀井だけだ、といったらしいですね。少なくとも、この二人は今回の結果を予想し…

 異形の神たち

大相撲が話題になっていますが、流石は小沢昭一さんです。 神事から始まった相撲は、江戸両国で芸能となったのでして、「どうみても大相撲は芸能、見せ物でスタートしているんです」。「大相撲は公明なスポーツとして社会の範たれと、みなさんは言う」。しか…

 終わりに

(承前)ということで元に戻って、いわずもがなの蛇足で終わります。今回、半藤、保阪氏の対談本に、おそらく両氏の眉を顰めさせるであろうアラカン竹中コンビの引用を対置したことになりましたが、それは決して、畢生の仕事に取り組んで来られた両大家や、…

 もうひとつ 

(承前)もうひとつ、これは全く別角度の、蛇足そのものなのですが、アラカン氏が繰り返される3文字語は関西語圏の用語です(でした?)が、みなさまはどう感じられたでしょうか。公平のために(?)敢えて記しておきますが、関東語圏ないし広域的には、ご…

 つけ足し

(承前)つけ足すことはありません、と書いたのはその通りで、内容的にはつけ足すことはないのですが、問題のある言葉を使ったので、補足を少しだけ。 敢えてそのまま引用したのですが、最後の部分に、問題語があります。「戦時中、朝鮮人従軍慰安婦はこのよ…

 将軍はエライ

時間があって小さい本屋を覗いたのですが、特に読みたい本もなく、『昭和の名将と愚将』(文春新書)という新書を買ってみました。半藤一利、保阪正康という両大家による、いつものような対談ですが、中に、こういう箇所がありました。海軍良識派として一般…

 作品はエライ 

何を問題にしたのか分かりにくい書き方だったので、もう少していねいに書きます。となると、長くなってしまい、逆の意味でまずいのですが。 例えば、チャタレー事件や破防法の昔から、様々な裁判や運動にはそれぞれ、弁護戦略や運動戦術があります。で、ある…

 Hな自由

最近では、東京都の青少年育成条例改正案が、かなり大きな問題になりました。提案者自身が不十分な案だったことを認めたらしく、ひとまず取り下げたようで、結構なことです。が、この種の問題には、どうも歯切れが悪くて気になることがあります。それは、「…

 賭博は遺憾

ギャンブル、賭博という行為が、当人にとっても、また社会的にも有害・・・なら当然、公営賭博もまた甚だ有害です。 賭博そのものは有害でないとすれば、それを取り締まるのは、当人のためではありません。では誰のためでしょうか。 今さらいうほとのことで…

 「可哀想」も金次第(続き3)

「『ザ・コーヴ』ってんだから、あそこの入り江はヒドい!カワイソー! ってなもんかね。まあ、世の中単純な善意と純情なんてないから、裏は裏であるのだろうけれど。 待ち受け画面に「うちの蜥蜴」を入れてるようなヤツなら、本人が変人を自覚してるに決ま…

 残念ながら

予想通り新聞は、1面トップにスポーツ欄に社会面にと大はしゃぎ。 朝青龍が小さくガッツポーズをしただけで、勝って相手を思いやり、奥ゆかしいのが日本の伝統だなどと、マスコミは彼を叩いたものでした。マスコミに節操を求めるのは、お門違いと分かってい…

 「可哀想」も金次第(続き)

「何かがカワイイ!ってなると、それが虐められるのはカワイソー!ってことになる。問題は、何をカワイイと思うかってことだよな。シューっとやられたゴキブリの断末魔を映画にとっても、ナウシカ以外だれもカワイソーとは見てくれない。犬猫はじめペット動…

 「可哀想」も金次第

そのうち、例の「ザ・コーヴ」という映画の話になりました。同じく勝手な独語改変ですが。 「確かにあれは、ツッコミ所満載だね。映画もそうだし、上映騒ぎもね。みんないろんな立場で、それぞれもっともなこと言ってんだけど、まあ、いいんじゃない。いろん…

 聞こえてきた会話

ごくたまにしか行かない店なのですが、そこで聞いた話です。実際には3人での会話だったのですが、中の一人の人がユニークだったので、反対したりからかったりしていたあとの二人ははずして、記憶をもとに、その人の発言を独り言に再構成してみます。 「驚い…

 基地の貸し替え

談志師匠は相変わらずお元気なようで。「アメリカがいなくなればどうなりますって。そんなもなあおめえ、東朝鮮でも何でもいいじゃねえか」、なんてことをおっしゃっておりましたな。ま、それは、「四の五のいって、結局独立する気概がねえんだろう腑抜け野…

 2-17 帰龍

さて、脱線が過ぎた。龍野中の修学旅行も最終日となる。 一行は、和歌浦周辺を徒歩見学し、再び南海電車で天王寺に戻り、明治記念博覧会で、現代の「忠臣」乃木自害の軍服など見る。そして、梅田から山陽線に乗って網干に6時半に帰着、そこで解散する。 往…

 2-16 台風と大畸人

ところで、「行人」には、主人公二郎が嫂と二人で和歌山の宿に泊まることになるという、重要なエピソードがある。たまたま台風に襲われて、和歌浦にいる母と兄のところに戻れなくなるのだが、その描写も、講演時の経験に基づいている。 講演が始まった時点で…

 2-15 開化と神経衰弱

有名な講演内容については、改めて詳しく紹介するまでもないだろう。(原文→青空文庫。または、→こちら、の方が読みやすい)。 現代の日本の開化は〜一般の開化とどこが違うか。〜私はこう断じたい、西洋の開化は内発的であって、日本の現代の開化は外発的で…

 2-14 田舎町

さて、「行人」の一行は、和歌山市に着いて路面電車に乗り換える。 以前に触れたように、「江戸人」漱石は、松山はもちろん熊本でも、こんな田舎から早く帰りたいという気持ちを隠さない。小説とはいえ、ここ和歌山でも、主人公の目に映るのは「田舎」の風景…

 2-13 食堂車

「行人」は、主人公が「梅田の停車場(ステーション)を下り」たところから始まり、前半は大阪で物語が進行するのだが、途中で彼は、兄夫妻たちと一緒に和歌山へ小旅行に行って、そこで「牢屋見たい」なエレベーターに乗ることになる。ということで、大阪か…

 2-12 牢屋みたいなエレベーター

「綿ネル」という一言にこだわり過ぎた。修学旅行に戻る。 和歌山市駅で南海電車を降りた一行は、今度は路面電車に乗り換え、「夜を圧するやうに和歌山城が聳えて」いるのを見ながら、和歌浦の「望海楼」に着いている。東京の路面電車は既に走り出していても…

 2-11 南海の工業地

一世を風靡した白戸三平の名作『カムイ』では、養蚕とともに綿栽培が村を変えてゆく。そのことで村は豊かになるが、それは商品連関の中に組み込まれて行くことを意味していた。舞台の花巻村は、中学生たちが乗り換えた浜寺に遠くない辺り(岸和田藩)に設定…

 2-10 綿ネル

さて、中学生はここで、「穏柔な濃い情緒の南国の町和歌山市」を想起するに当たって、「澤山出る蜜柑」と「他人種が好んで身につけるといふ綿ネル」という、二つの物産を挙げている。古来、聖地を抱え込む温暖湿潤な熊(隈)野の深い森林は、古名「木の国」…

 2-9 八咫烏

もう一度書くが、今風の観光なら伊勢奈良の次は京都だろうし、天皇で通すなら浜寺近くの仁徳天皇陵に行く手もあっただろうに、何故播州龍野の中学生一行は、わざわざ紀州和歌山へ行ったのか。 自分の土地の悪口をいわれても怒らずに笑うのは紀州和歌山の人と…

 2-8 南海ホークス、ではなく

水島新司氏の「あぶさん」景浦安武は、ホークスが福岡へ移ったときも引退しなかったが、流石に昨年、現役引退と伝えられた。だがなお、「釣りバカ日誌」や「三丁目の夕日」に並んで続いている連載の中で、現役37年でいるらしい。 彼の長男は阪神の投手になっ…

 2-7 南海、浜寺

閑話休題。 普通、県庁所在地は県の中心近くにあるが、和歌山県の県都和歌山市は大阪府に接しており、現在、大阪市と和歌山市の間には南海電車とJR阪和線という2つの路線があって、それぞれ1時間以内で両市を結んでいる。平行する二つの鉄道の間には長年の…

 2-6 奈良、和歌山

さて、龍野中生一行に戻る。彼らがゴダイゴの山に登った13年は、水戸学から幕末尊王論へと受け継がれた南朝正統論が、議会決議によって、改めて国家的に公認された時期に当たっていた。 もちろん、皇国史観の国家的正当化については、南朝正統論の公認で事が…

 国外はダメ、せめて県外へ

ニュースから。 ○「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」の民主党議員らは、テニアンとサイパンを視察し、グアム州知事と北マリアナ連邦知事から、「基地はぜひテニアンに移して欲しい」という、鳩山首相宛ての親書を預かって来た。この親書には、13日に来日して…

 2-5 伊勢、奈良

龍野中生の旅を追おう。 早暁網干駅を発った汽車は山陽本線を走って梅田(大阪)に着く。そこで城東線(現環状線)に乗り換えて、天王寺へ。そして一行は、天王寺発8時40分の鳥羽行きに乗り、多分車中で弁当を食べたであろう、1時半に山田駅に着いている。…