『ごろはちだいみょうじん』という、私の好きな絵本がある(福音館書店、こどものともえほん)。中川正文氏の文も、梶山俊夫氏の絵も、とてもすばらしい。
(部分)
「てんごしい」のたぬきのごろはちが住む村に、線路が敷かれ、「てつどう いうもん」がついて、「きしゃが とおって、ここに えきが できるのや」ということになる。そして・・・ある寒い日のこと、「はなびを あいずに、おとこやら おんなやら、こどもやら としよりやら、みんな よそゆきの ええ きもの きて、ぞろぞろ でてきよった。そして「えき」という ほうへ あるいて いきよるのや。てにてに はたまで もって・・・」ということになるのだが、部分図なので、広々とした村はずれの感じや、村の人たちが、初めてやってくる汽車やらいうもんを待っている、遠く続く線路の向こうなど、肝心のところがカットされていて申し訳けない。是非元の絵本を見て頂きたい。(→ bk1 または、大抵の子供図書館にあると思います)
いつの頃の話かは分からないが、ともかく、村人たちとたぬきの間に付き合いのあった村にまで汽車がやってくる時代、洋服は右上の駅長だけだが、真ん中の村長らしい人は山高帽である。楽しそうに集まった人たちの「よそゆきの ええ きもの」には、まだ手織り木綿も混じっているだろうか。