バチモン「シマウマ」讃 

  [中国で、ディズニーランドをまねた遊園地が人気を集めていると、TVで報道された。ディズニー公認ではなく、ヌイグルミのキャラクターも全て<変>であり、「違法コピー商品が横行している中国」を象徴するできごとだと指摘。「夢を壊される」というディズニーランド・ファンの声をかぶせて放映された。数日後、後追いの形で、中国の小遊園地らしいところで子どもたちを乗せている「シマウマ」までもが、白いポニーに絵の具で縞模様をつけたものではないかと、レポーター追跡の朝バラ報道。
 いいじゃないか! と思うのだが、オリンピックもあることだし、やっぱりグローバルという名の西欧スタンダードを受け入れたらしく、閉鎖したということである。残念。
 バチモン「中国版ディズニーランド」のことである。
 <変>なディズニーキャラクターなんて、微笑ましいではないか。少なくとも、アメリカへも日本へも行けない貧しい子どもたちが、バチモンで楽しんでいるのだから、そっとしておいてやればいいじゃないか。
 「そんなヌイグルミ使わないで、<本物>を無料で貸してあげますよ」といって来るのならともかく、著作権とか商標使用料とかシャラクサイことをいって来るやつがいたら、いってやればよかったのだ。「ああ、そうですか。じゃ、私たちの発明した紙と火薬を何世紀にも亘って無断で使って来た使用料と、チャラにしてあげますよ」、と。
 <変>なサンタクロースは、世界中にいくらでもいるが、フィンランドの人々は文句をいったか。何故、ディズニーだけが、文句をいったり金を取ったりする権利があるのか。
 いや、もちろん私も、いまの法律のことは知っている。だが、ここで議論する気はないが、私は知的所有権の類は有害だという暴論をもっている。全て、とはいわないまでも、ほとんどがそうだと思っている。まあ、それは暴論であるとほとんどの人がいうだろうから、主張はしないが。
 しかし、それでは、シマウマはどうだ。白い馬に塗料でシマを描いただけではないか。子どもたちが、シマウマだと思って、乗せてもらって喜んでいただけではないか。わざわざレポーターが出かけていって、鬼の首でもとったように、「これはシマウマじゃないですね」、とマイクを突きつけ、テレビ番組で、中国はひどいバチモン国だと強調。お陰で、シマウマは白い馬に戻されたようである。まあ、馬にとっては、その方がよかったのだろうから、何もいわない。
 しかし、テレビのレポーターには、わざわざよその国にまで行ってとやかく言う前に、是非、私の家の近所のスーパーに来てもらいたいものである。入り口に、塗料でシマを描いた馬がいて、毎日子どもたちを乗せている。中国の「シマウマ」と同じように、番組でやってもらいたい。「これはシマウマでしょうか。純真な子どもたちはシマウマだと思って乗っていますが、ごらんください。これには脚がありません。何だかゴトゴトいう箱があるばかりです。こちらに100円入れてみましょう。どうですか、みなさん。歩きません!歩きません!」・・・アホか。