<変>な広告(6):片ヒゲ浮世絵

 (1)で『歯磨スモカ』片岡敏郎を、(4)で「片ヒゲ美人」を紹介した。 
 ところが、こういう広告を発見! ・・・何とこれは、『歯磨スモカ』の「片ヒゲ美人」ではないか。
 美人の元は、右に揚げた絵(栄松斎長喜「東扇屋つかさ太夫」)に間違いなかろう。一方、(私の推定であるが)アイデアの元は、「片ヒゲ美人」ではあるまいか。(4)で紹介したように、「片ヒゲ美人」は、いささか怪しい小商店の小広告ではあるが、時折何度か掲載されている。『歯磨きスモカ』のデザイナーも、おそらく目にしていたのではないか。もっといえば、「面白い」と思っていたのではないだろうか。少し時代が開いているかもしれないが、『歯磨スモカ』広告の作者は「片ヒゲ美人」のウィットに共感していた、と私は勝手に想像する。
 ひとつ、謎がある。肩のあたりにある、サインらしきものである。右に拡大したように、「y」に見えるがこれは、「片」の崩し字だろうか。一番最初に書いたように、私は素人であり、本も読んではいないので何ともいえないが、私が見つけたいくつかの『歯磨スモカ』では、他にはサインはないように思うのだが、この点はしばらく保留しておく。
 それにしても、遊び心が面白い広告である。