弱者からこそ奪うべし

 脳天気なことを書いていられません。青息の町工場の人々、仕事と住所を取り上げられた派遣の人々、給付金さえもらえないホームレスの人々、などなどなど。
 アンケートによると、給付金などいらないという人が60数%だとのこと。しかも、貧しい人も含めての数字です。そんなものいらないから、ほんとに困っている人々をちゃんと支援してほしい。僅かなカネをもらうより、もし自分が同様な境遇になっても何とかしてもらえるという安心感の方がはるかにいい、と、60数%の人々は望んでいるわけでしょう。しかしアホウは、ミゾウユウな事態にも歴代首相のやり方をフシュウしているだけ。
 などと、ヒトのことをいってるだけではすみません。寒さに向かう年末に職を失い住む場所も失い、どこに頼れるというあてもない人々のことを思うと、こんなブログなど書いている場合じゃないですが。
 しかし、それにしても昨今は、高利ローン業とか孤老相手の詐欺とか、また賃貸住居の契約保証代行業とか、逆に貧しい人々や困っている人々こそをターゲットにして、なけなしのカネをむしり取ろうという「ニュー・ビジネス」が、毎日のように報じられます。
 今日の新聞にはまた、失踪した子をもつ親の藁をもすがる気持ちにつけ込んで、電話で巧みに騙し、大金を送らせた犯人が逮捕されたとか。長期に渉って少しづつ送金させたらしいカネの総計、実に7千万円とも1億ともいいます。子を失い、大金を騙し取られ、そして更に・・・
 「すぐに相談してくれていれば……」と警察はいうでしょうが、騙した犯人は、子供を見つけ犯人を見つけてもらえない両親に当然あるだろう警察への不信感を、巧みに煽ったようです。けれども、それだけではありません。この件では、子供が通っていた小学校や住んでいた地域ぐるみの協力はもちろん、中には全国を回る大衆劇団なども含め様々な人々が、情報提供を求めるビラ配りなどの活動に協力参加してきたようです。自宅がある区長は「すぐに誰かに相談していれば……」と残念がったようですが、父親は家族にも相談できなかったとのこと。おそらく父親は、たとえ騙されているとしても、誰かに相談してこの一すじの藁が切れるよりは、と思い続けていたのでしょう。
 どういう犯人かは分かりませんが、人はこういうことまでできるのですね。いやむしろ、今この瞬間にも、「なるほどそういうビジネスモデルがあったか」、と類似の騙しビジネスを考える連中も、世の中にはいるに違いありません。
 ・・・しかし、考えてみると、厳しい時代だからこそ「貧しい人々や困っている人々を支援する」のではなく、厳しい時代に生きる「貧しい人々や困っている人々こそをターゲットにしてむしり取ろうというニュー・ビジネス」のモデルなんて、他に求める必要はありません。年金や保険や福祉事業などで、老人や障害者などを含む社会的弱者を相手に、オカミが率先してやっていることでした。