友好と平和の勝手国

 (承前)勝手建国万歳!
 しかし、イスラエルのように、半公然核兵器を含む異常な軍事力で周辺国を脅し侵略拡張を続ける、といったやり方は絶対許されることではありません。周辺の国々を殴りつけ踏みつけ屈服させることをのみ「解決」だとするような「国」は、自らの鎧の重さで、いずれ沈没してゆく他ないでしょう。それが歴史というものです。
 沈没は嫌だ、安定した国を作りたい? なるほど。それならあなた方は、ナチスの沈没史からさえ学ばず、まるでナチスの轍をのみ踏み進むような現状を改め、世界史に学び、世界に目を向けるべきです。そうすれば、全く勝手に建国独立しながら、けれども周辺国と実に仲良く平和にやっている国があることを知るでしょう。 
 わが「日本」には、勝手建国された国がいくつもあります。北海道の「動物王国」は確かもう閉国したようですが、例えば、1986年に勝手建国された「イノブータン王国」。同国は、勝手に建国した後、当時の「日本」国中曽根首相に建国宣言書を手渡しましたが、首相は、同国が「日本国」領内に勝手に建国独立した国であるにもかかわらず、にこやかに対応したとのこと。さらに同国首脳は、「日本国」通産大臣と会見して通商友好条約を締結。その後も、実に平和な友好関係を続けているということです。もちろんこれは、「日本」国が、かつて首相がノーベル平和賞を受賞して一挙にノーベル平和賞の評価を落としたような「平和」国家だから、ではありません。ひとえに勝手独立「イノブータン王国」の国家姿勢にあります。
 同国の他にも、「日本」国内にはいくつも勝手独立国があり、サミットなども開かれているようですが、どの国も、すこぶる平和なものです。それというのも、勝手独立国では、どの国も、何より隣国「日本」との友好に力を入れているからです。
 それら勝手独立国では、周辺「日本」国の法律と全く同じ法律を国内法とし、外交上も「日本」国諸官庁の意向を尊重するのはもちろん、その他あらゆる分野で「日本友好」を国是としています。例えば、二重国籍OKですし、「日本」国民のビザ、パスポートなしの往来も全くフリーです。また国によっては、「日本」国との友好のために、わざわざ国王ご自身が、「日本」国指定の「町長」職に就任されたりしています。
 もちろん、経済や財政の面でも、友好第一の姿勢は同じです。各勝手国は、当然、それぞれ「ブータン」とか「イエン」とかといった単位の通貨を発行していますが、国民は、外国である「日本」ではそれらの自国通貨の使用を控え、しかし逆に、外国人の国内での「円」の流通を自動的に認めています。
 このような永続的友好関係のおかげで、周辺「日本」国では、勝手独立国内の水道ガス電力網の整備維持についても、幹線道路や鉄道の敷設維持についても、学校の設置や教員の派遣についても、その他多岐にわたる生活諸条件について、自国と同水準のものを保証してくれています。友好と平和を国是とするならば、何より安心と安全な生活が、周辺国からもたらされるのです。
 ところが、イスラエルは、友好第一のかけらもなく、莫大な費用で過剰極まりない軍隊を備えて周辺国を威圧し、時には激しく空爆し侵入し占領し、多くの周辺人民を殺戮して、抜きがたい不信と憎悪を作り出しています。彼らの国には不安が増すばかりで、決して安心に達することがないでしょう。彼らは、何と馬鹿げたことをするのでしょうか。
 もし独立したければ、そして安心して暮らしたければ、イノブータン王国のように、「友好国」として独立すればいいのです。世界中の金持ち親族から送られてくる莫大な援助金を、軍備や戦争につぎ込む代わりに、周辺地域の安全と友好と発展のために使えば、周辺地域の人々はこぞって、ユダヤ「友好国」を、尊敬し、愛し、感謝することこと間違いありません。
 穏やかで控えめで、地域の人々との友好を何より大切にし、しかも静かに周辺地域を豊かに発展させるような勝手独立国、イノブータン王国のようなユダヤ王国とか、チャイナタウンのようなユダヤタウンなら、出て行けといわれるどころか、どうぞわが国に来てください、と誘致さえされるに違いありません。それなのに、核兵器とか戦車とか爆撃機を抱え壁を巡らし、殺しまくるとは。何たる愚かな道を行くのでしょうか。
       (→イノブータン王国