戦慄迷宮

 ホラー怪談スプラッターお化け屋敷・・・最近は夏だけのものではないようですが、個人的には、こういう類のものは一切見ません。それはそれとして、前から不思議に思うのは、医師会の先生方のことなんですが。
 「お化け屋敷」という位ですから、もともとは廃井戸のある古屋敷とかだったのでしょうが、いまは学校などを抑えて、病院が定番のようです。山梨県に日本最大とか世界最長とかいうホラー施設ができているそうですが、それも病院廃墟。
 例えば刑務所とか警察署とか、自衛隊の兵舎とか、そういったものをお化け屋敷の舞台に使ったとすれば、「職員が身をはって仕事をしている職場を化け物屋敷の舞台にするとは何ごとか!」と、法務省とか自衛隊とかから抗議が来ないでしょうか。しかし、あれほど政治的発言力のある医師会の先生方が、尊い生命を救おうと献身的に仕事をする自分たちの職場が、たとえ廃墟としても、お化け屋敷の定番になっていることに対して、抗議していないらしいのが不思議です。
 あるいはまた、爆心地や電車衝突などの巨大事故現場や地震山崩れなどの災害現場を舞台にして、被害者や被災者の人形が人を驚かすような施設を作れば、「不謹慎極まりない!」と、当然非難されるでしょう。けれども、病院で手術を受けた患者や病院で亡くなった方々が「化け物」扱いされることに対して、病院経営者や医師会の先生方は何とも思わないのでしょうか。それが少し不思議です。
 もちろん、先生方だけの問題ではないですが。