平和賞

 基本的に「賞」なんてものは、誰が誰から何をもらおうが、どうということはないのですが。でもまあ、そうもいっていられないこともあって、例えば以前、2月から3月にかけて、村上春樹氏の受賞をめぐって駄文を書いたりしています(例えば→ここなど)。
 その前後でも触れたことですが、昔、佐藤A作氏が「平和賞」なるものをもらって賞の値打ちを一挙に下げてしまったことがありますが、この度、その同じ平和賞を、Mr.チェンジ、オバマ大統領が受賞したとか。もっとも、まだ演説しただけじゃないか、などといわれたりしているようですが。
 A作氏の受賞に際しては、「おいおい、そりゃないだろう」という声があがったりしたわけですが、何しろ選考委員会の老人たちは遠い国に住んでいます。「あの国は憲法で軍備をもたないことにしているらしいですし、それに唯一の被爆国で核兵器を作らない持たない持ち込ませないといってるようですから、今回はあの国でどうでしょうか、でも誰に賞をやればいいのか分かりませんから首相にでもやってしまいましょうか」、てなところだったのでしょう。もちろん実際には、軍ではないと強弁しつつ強大な軍事力を備えたり、持ち込ませないと答弁しつつ実は裏で密約したりしてきたのが、A作氏率いる党だったのですが、そんなことは老人たちは知りません。ともかく老人たちは、A作氏ではなく国を評価したつもりだったのでした。
 で、今度もまた、オバマ氏ではなく国を評価したつもり・・・まさか、そりゃないでしょう。核廃絶を目指そうと演説したといっても、率先した廃棄行動を約束した訳でなし、イスラエルの「核疑惑」に言及した訳でなし。つまりあの演説は、最強最大の核武装国が、自分や友国のことは棚にあげて、今後ますます、気に入らない弱小国に対して激しい制裁を加えますよ、という宣言だとも読めます。
 でもまあ、受賞者個人としては、さしあたり口だけであってもとにかく口にしたのですから、せいぜい努力して頂きたいものです。