協和語付記

 前もって注記しておけなければならないのでややこしいのだが、国名としての「満州」はあの傀儡国家を指すのでまずいのだが、現在は確かに中国東北部であるにしても中国による包摂を前提として当時の原住の人々を「中国人」ということも憚られ、むしろ「満州の人々」とでもいっておいた方がよいかもしれないが、勿論「満州族」の人たちだけがいたわけではなく、例えば「五族協和」といわれた5から日本を除いた4族は、満漢朝露だったか、他にもいただろう、とにかく共住するそれら多民族の人々を便宜上「満州人」と呼んでおくことにする、おそらく漢朝露の人々も移住者なのだろうということもあるし。ここまでは前置き。
 例の「協和語」について、Wikipediaの記事は知っていたが、2ちゃんねるに、協和語についてのスレが立っていたことを昨日知った。→ここ
 やはり事情はそれほど単純ではないようだ。協和を掲げた満州人教化が、どの程度共通語としての日本語普及を指向していたのも不明だが、いずれにしても協和語なるものが、例えば教科書が作られるほどに体系化されたり普及が試みられたりした証拠は、どうやら今のところないらしい。
 どんな言語も、様々な使用現場で様々に変容してゆくが、コミュニケーションの必要上生まれるカタコト語、ピジン語、クレオール語だけでなく、教化語もあればからかい語や侮蔑語もある。小説やマンガで「これがワシの発明した農薬ジャ」,「ンじゃチョックラ撒いてみるベエ」,などといったりするのは、必ずしもからかいや侮蔑ではなく、いうならば「キャラ立て語」とでもいえばよいだろうか。
 2ちゃんスレで挙げられている参考書類も全く見ていないのではっきりしたことは全くいえないが、いわゆる「協和語」は、今のところ、上記のような様々な変容語のミックスとして存在したというが一番近いのかもしれないようだ。