ただし・・・

 ただし、<手打ち>といっても一筋縄ではなく、もしかするともしかして、面白くなるかもしれません。
 朝青龍が突如引退してしまいましたが、そこでしきりに話題になったのが「示談」です。これも一種の手打ちですが、しかしあのダメ親方は、最初は身内だけでごまかそうとし、ウソがバレると、「示談」で万事を治めようとしたのですが、警察はそれでも事情聴取だと態度を変えないし、理事会も横審に強く推されてやっぱり解雇だというし、残念ながら遂に引退しかなくなりました。
 あの「示談」に効果がなかったのは当然で、被害者との手打ちでしかなく、親分どうしの手打ちではなかったからです。
 ところで、ダメ親方は、理事会に最初に呼ばれた際、「示談というが示談書はあるのか」といわれてしどろもどろ、急いで示談書を作ったのでしたが、もともと手打ちというのは、法外の処理ですから、紙切れの印鑑よりも、大親分の一言の方が、それどころか頷きひとつの方が、はるかに効果をもちます。
 口約束でも頷きでも、闇世界では仁義が全てです。映画でご承知のように、手打ち式が執り行われる場合には、座敷の床の間に3本の軸が掲げられます。博徒系とテキヤ系では両側が異なるようですが、真ん中は「天照皇大神」、ご承知の天皇家のご先祖です。親分どうしの一言も頷き一つも、いうならば「天照皇大神」に誓うわけですね。破れば最低でも指を落とされます。
 さて、私は、月の変わり目に「何か」ががあったのでは、と書きました。もちろん、全くのゲスの勘繰りでありいい加減な想像です。でも、小沢氏が1日に不起訴の確信を持ったらしく、そして2日に国務次官補と会談して小沢氏が訪米して大統領と普天間基地問題の意見交換を行う段取りができたらしく、そして翌3日に「小沢幹事長不起訴の方向」という報道が漏れた、というようにニュース記事を並べてみると、「何か」あったように思えるじゃないですか。
 しかし、です。その「何か」が、仮に<手打ち>のようなものだったとしても、例の核持ち込みのような「密約書」までが作られているわけではなく、口約束と頷きでしょう。もしも万一、そういう「何か」があったとしてもです。
 だとすると、もしかするともしかするかもしれません。グローバリズムの席巻とかいくら言われても、まだ「グローバル大明神」なんてものはないですからね。あちらさんの誓いはバイブルで、こちらが天照皇大神。週刊誌には、案外純情生一本と書かれることもありますが、それよりはるかに多く辣腕とか剛腕とか、はては裏切ることを何とも思っていないとかさんざん書かれている小沢氏のことです。天照皇大神の前では約束したがバイブルの前で誓ったわけではない、というかもしれません。あちらさんは小指なんかいらないでしょうし。
 とするなら、もしかするともしかして・・・いやいやいや、勘繰りと想像に妄想を重ねてはいけません。