玄人

 長年政権を回して来た旧党の派閥ボスたちは、政治の玄人をもって任じており、例えば例の密約がバレても、「素人に何といわれようと、玄人判断として正しかったのだ」、と開き直っています。ところで、彼らの玄人ボス力は、カネ集め力に他ならなかったのでしたが、与党が変わって、ご承知のようにオザワ氏が、「政治とカネ」の問題で追求されています。
 「説明責任を果たしていないなんぞというが、特捜権力が嵩にかかって取り調べた、聞かれたことは全て説明した、それで不起訴となった。これ以上何を説明せよというのか、説明責任を果たせという諸君の方が、「説明責任を果たしていない」ということについての説明責任を果たすべきじゃないのかね」。それは確かにその通りではあります。
 ありますが、しかし、オザワという人は、どこから見ても旧党ボスと同類の玄人に見えてしまいます。単なるイメージだといいたいのでしょうが、「陸山会」の不動産取得がダントツ9億だと聞いて、誰しも「やっぱり」と思ってしまうわけです。オザワ氏は、そんな浮動イメージは大したことはない、決めるのは候補者が踏むどぶ板の回数だ、と強気ですが、そこがまた、いかにも選挙と政治の玄人らしいところです。
 一方、政府の方は、素人というか何というか。もちろん素人政治ゆえのいい面もいくつもありますが、例えばゴールデンウィーク分散案などは、余りにも素人過ぎて、笑ってしまいます。閣僚誰かの素人発想案なのか、素人ゆえにどこかの小官僚の思い付き案に乗せられてしまったのか知りませんが、まあすぐポシャるでしょう。
 そこで問題の基地ですが、首相は、この期に及んでなお、「地元にも米軍にも納得してもらえる案」などとノー天気なことをいっており、一方オザワ氏は、腹は分かりませんが、県内はダメだと念押し発言したそうですね。素人ゆえのハプニング案を首相が出して驚かせるのか、玄人ゆえにオザワ氏に県外の成算ある隠し球があるのか。多分いずれもないでしょうが、旧党の玄人数名が、抜け目なく既に辺野古の拡張予定地をこっそりと入手しているというニュースがあります。で、与党の方からオザワ氏の名前が挙がっているらしく、もしも万一ホントだとすれば、改めて玄人の凄さには舌を巻きます。(