3種類

 少数言語の危機といっても人ごとではありません。昨年ユネスコが認定した「危機言語」には、次の9語も含まれています。アイヌ語奄美語、沖縄語、国頭語、八丈語宮古語八重山語与那国語アイヌ語以外は島ことばです。
 言語地理学というのがありまして、知り合いにやってるのがいましたが、例の「アホ/バカ分布図」のようなことを、もっと狭い範囲で厳密に調査するわけです。そのためには、聞き取りの対象つまりインフォーマントが重要で、在住の老人といっても、父親の代に他県から移住してきたとか、若い頃出稼ぎが長かったとか、同居している息子の嫁は他県人だとかいったような人は除外するとのことでした。ということで、逆に人の行き来が比較的少なかった島の言葉は、ある時期までガラパゴス保存され易かったのでしょう。でも今は、人が動きやすくなっただけでなく、テレビがありますので、どうしようもありません。3種類といわれても、実質困るわけです。
 それに、問題は消滅するかもしれない危機だけではありません。当分残る言葉でも、確実に薄められてゆきつつあります。いわゆる方言とか地方語とかいわれるもののうち一番でかい顔をしているのは関西弁ないしは大阪弁でしょうが、それでも、先日テレビで、「かしわ、なんば」といったありふれた食べ物の名前でも今はもう分からない人が多い、といっていました。