「可哀想」も金次第

 そのうち、例の「ザ・コーヴ」という映画の話になりました。同じく勝手な独語改変ですが。
 「確かにあれは、ツッコミ所満載だね。映画もそうだし、上映騒ぎもね。みんないろんな立場で、それぞれもっともなこと言ってんだけど、まあ、いいんじゃない。いろんな立場でツッコミ合うのは。特定の町の人々攻撃して、しかもなんか賞とったもんだから話題になっちゃったけど。って、あの賞も話題作りが欲しかったんだけどね。でも、そういう話題を除けば、もともと映画そのものは、特にどうという所のない、ありきたりのものらしいじゃない、話も、作りも。だからみんな、独特の愉しみ方してるんだよ。
 大体、映画だけじゃなくどんなジャンルでも、ジャンルがマンネリ化してくると、「ツッコミ」で愉しむという「B級鑑賞法」が出てくるよね。パロディで愉しむとかならまだA級が前提になってるけど、最初からB級を愉しっていう鑑賞法ね。ほら、例の「シベ超」なんていう、その道の「名作」まであるだろ。
 ドキュメンタリとかだって、おんなじさ。あの映画なんかも、作られた話題性を除けば、単純に「イルカ可哀想!」ていってるだけで、それ以上でも以下でもないみたいじゃん。そんな映画に、文化だとか差別だとか何とかいうのは、「ツッコミ」だよね。それにまた自由だと何とか、ツッコミ返したり。みんないろんな立場で、あーだこーだツッコミあって愉しんでんだから、ま、いいんじゃない。発言する人たちは、みんなツッコミの道で食ってるんだし。それにしては、予想できるようなツッコミばっかしなのは、ちょっと物足りないけどね。
 でも、俺のような貧乏人にいわせれば、もうひとつ、抜けてることがあるね。金の話さ。いやいや、別に特別のことなんかいえるわけないよ。誰でも思ってることなんだけど。ただ金の話なんかハシタナイって思って、誰も口にしないだけで。
 え? ライフル協会からロビー活動に巨額の金が出てるってようなことかって? ああ「ボーリングフォー何とか」の話な。いやいや、そんなことじゃなく、もっと単純なことさ。映画撮るのには金がかかるって話。
 ・・・なんだか俺ばっかしゃべって、長くなっちゃったな。ちょいトイレ行ってくるわ。ちょっとタンマな。」