蛇足または補足

 前回末尾、読み返して思ったのですが、蛇足か補足をしておいた方がよさそうです。
 まさか「桑原」で桑原和男を思い浮かべた人はいないでしょうが、最近では、「くわばらくわばら」などとは、多分誰もいいませんね。いったとしても、例えば、ガラスの花瓶を倒しそうになって、「おっと危ない、くわばらくわばら」というように、危険を回避した直後にいわれることが多いような気がします。もちろんあくまで気がするというだけで、用例を調べたわけではありませんが。そういえば、「つるかめつるかめ」という唱え言葉もあって、こちらはもはやほとんど死語です。大島弓子の名作『つるばらつるばら』は、蔓薔薇ではありますが、両方を合わせたものでもあるようですね。漢字で書けば、「鶴亀鶴亀」と「桑原桑原」。ご承知のように、後者は落雷よけの呪文です。
 天皇政権を傀儡化して意のままに操ろうとするアメリカからの自立を図って、菅原道真は中央政界で政権交代を成功させ改革を進めますが、失権を怖れるアメリカ従属派の誣告を受けて強制起訴され、醍醐天皇の手で太宰府に左遷されます。後に息子たちも処刑され、事実上の流罪でした。道真は、政界復帰ならないまま都から遠く生を終えますが、ところが彼の死後、次々と凶事が政界を襲い、遂に議事堂清涼殿に落雷して、大納言ら多数が死傷します。「すわ憤死せし道真が怨霊、雷神となりて神罰を下したるか」、と震え上がった政治家たちは、彼の御霊を鎮めるために神社を建立。それが天満宮というわけです。
 で「桑原桑原」ですが、有力な一説によると、道真の領地であった桑原の名を唱えて、「此処は桑原なれば雷を落とし給ふな、桑原桑原」というのが語源だとのこと。地震津波に洪水崖崩れ、天災には呪文も許されますが、原発事故はあくまでも人災です。わけの分からない呪文のような言い逃れを許さず、責任をとるべき全ての人に責任をとってもらわねばなりません。
 ・・・・うわっ、いまUPしたとたんに、突然の雷鳴!