帝国の慰安婦:安堵の共同性17

 もっと先に書くつもりだったのですが(大体、タイトルに掲げた本の内容に全く触れないまま横道というより道端の叢ばかりうろついているのですが)、全くのところどうかしている以下の件に関連しますので、少し書くことにします。
 (1)事件について 
 前回も触れましたが、手っ取り早く分かりやすいのは、→小笠原誠治氏の記事(9日から今日19日まで)だと思いますので、訪問してみてください。簡単にいえば、財務省出先機関が、国有地をある学校法人に仰天安値で売却し、とんでもない補助金を合わせると実質タダで提供したという、本当なら実にけしからぬことがあったらしいのですが、その学校法人はその土地に、教育勅語を子供に暗唱させるという首相好みの小学校を設立しようとしていて、名前は当初の「安倍晋三記念小学校」から「愛国小学校」に変更したようですが、名誉校長には安倍昭恵夫人が就任するということで、それを聞くと、おそらく多くの人が、土地提供の背後に実に怪しい闇を感じるのではないでしょうか。そういう事件です。
 (2)報道について 
 ところがこの事件を、マスコミは全く報道しないで来ました。本当なら実にけしからぬことがあって、その背後に実に怪しい闇を感じるとすれば、本当かどうかを疑い、怪しい闇を疑い、その「疑い」をバネに、事実を明らかにしようと追求するのが、報道人の使命ではなかったのでしょうか。しかし、そう思うのは私の頭が古いからであって、どうやら昨今は、トランプ風がこちらでも吹いていて、しかもそれは別に悪くはない風だと感じるのが、最近の常識なのかもしれません。「疑いだけでは追求できない。トランプに<手続きを踏んで決めた値段で売却したことを疑うのか、行政の執行に文句をつけるのか。指示や圧力があった証拠があるのか、証拠もないのにウソを書くのか>、といわれそうだ。いわれると怖い」、と。
 改めてそう感じたのは、昨日だったかの新聞見出しを見たからです。私は日頃テレビのニュースは見ない(見たくない)し、新聞の一面も見出し以外はほとんど読まない(読みたくない)という、実に偏向かつズボラ人間なのですが、ようやくこの事件が国会でも取り上げられたことを受けて、私の知る限り、はじめて新聞が、一面ではありませんでしたが、まずまずの大きさで、この件をとりあげていました。見出しだけで記事内容は読んでいません(読みたくもありません)が、見出しによれば、それは、「安倍首相が指示なんか絶対していないと言った」、という記事なのでした。
 ◯実質無料の土地提供があったという事実を報道しはしなかった。◯それが不当なものであったかどうかを追求しはしてこなかった。◯安倍首相と学園との事実関係を報道しはしてこなかった。◯指示や圧力があったのではないかという疑いを追求しはしてこなかった。少なくとも大きくは報道してこなかった。首相との関連が強い事件の「疑いを追求する」報道はしないでおいて、◯首相が「疑惑を否定したことを伝える」報道だけをしたのです。
 ズボラな私の見落としかもしれませんが、もしそうではないとすれば、報道支配に関してトランプのアメリカを笑えず、政治的闇に関して李恩恵の韓国を笑えないでしょう。(この件続く)