知恵のある人々

 以前、こういうことがあったと聞いた。
 どこかの県庁か市役所の職員で、形式はパート雇用だが、実際には長年正規職員と同様の仕事を担わされ、にもかかわらず待遇面で大きく差別されたまま・・・ということで、ある女性職員が不当を訴え、裁判所は、毎年連続して更新される長期の雇用実態からパート扱いは不当だと判断し、彼女が勝訴した。
 で、どうなったかというと・・・・・それが、役所には知恵のある人がいたのですね。それでは、以後パート契約はすべて毎年4月1日〜3月30日で切って31日にスキマを作れば、長期連続雇用じゃないと主張できる、というわけで、これはよい知恵だと、全国の役所に、この方式が広まったという。
 先日、こういうことがあったと読んだ。
 これまで、マクドナルドの店長は、実権がないのに管理職扱いで、わずかな管理職手当と引き替えに、連日深夜まで残業しても超勤手当はゼロ・・・ということで、ある店長が不当を訴え、裁判所が、偽装管理職でしかないから残業に手当を払うべきだと判断し、彼が勝訴した。
 で、どうなったかというと・・・・・マクドナルドにも、もっと知恵のある人がいたのですね。以後、店長の管理職扱いはやめて手当支給は打ち切り、代わりに残業には超勤手当を出すが、ただし残業は前日までに上司に申請して許可をえることとする。ということで、関東でマック関西でマクドの経営者は、「差し引きで人件費負担は増えない、むしろ抑制できる」と、堂々うそぶいている。今後経営側は、申請−許可制で支給額を自由にコントロールできる一方、激しい実績競争に追い込まれている店長諸氏は、無許可のサービス残業を強いられるであろうとのこと。 
 不当待遇を訴え、裁判に勝訴すると、待遇が<悪くなる>。・・・・・そういえば、昨今、障害者にしても、高齢者にしても、「待遇を改善する」という法改正がなされると、どういうわけか決まって「待遇が悪化する」というのが当たり前のご時世。地方自治体や私企業にも知恵者がいるのだから、ましてや国には、よほどの知恵者がそろっているわけですなぁ。