ライト(2)

 道草ですが、私の電子辞書に英和辞典が二つ入っていましたので、試みに「right」をひいてみました。そのひとつ、大修館の「ジーニアス英和辞典」では、原義は「ある基準にぴったり合っている」ということで、そこから「正しい、正当な」の類となり、そして、「使用するのに適切な手は右手」だということから「右」という義になった、とあります。ところが、もうひとつ、「ベーシックジーニアス英和辞典」では、逆に、原義は「右」で、「知恵者の心は右にあり」という聖書の記述から、「正しい」という意味になった、とあります。同じ大修館の、名前まで似た姉妹辞書で、説明が正反対。まあ、もっと調べてみる程の問題ではありませんが、素人的には、後者の方に無理を感じます。それにしても、辞書を信じすぎてはいけません。ちなみに、「left」の方ですが、普通には「正」や「直」に対する「誤」や「歪」といった意味はないようですが、古義としては、「弱い、価値のない」という意味もあるとのこと。
 などと「右」にこだわって来ましたが、以上は実は前置きです。
 さて、例えば中高生に名詞の「right」の意味を聞くと、多分、「右」の他に、「権利」と「正義」の二つを挙げるだろうと思われます。実際、手元の辞書でも、人権、財産権等を総称した「権利」と、公正、正当性等を含む「正義」が、訳語の最初にあがっています。
 けれども、(先に触れた複数形や冠詞の件は無視しての話ですが)私たち外国人からみると、「右」と「正しさ」の間だけではなく、「権利」と「正義」の間にも、相当の開きがあるように思えます。
 とはいえ、ここで、「正義」とは何か、「権利」とは何か、といった難しい問題に入ろうというのでは毛頭ありません。書きたいことは何か、まだもやもやしていますので、ゆっくり考えてみることにして、今日は道草だけで失礼します。