すばらしきゴリン

 これほどの状況下で、まだ五輪中止を決められないでいます。
 あの年、開戦すれば敗戦必死と予想しながら、中止という一言を、天皇は自分は言い出す立場にないと逃げ、陸軍と海軍は、相手が言うならともかく自分からは言えないと、互いに中止責任をとらないまま、それでも準備だけは進めているうちに、気がつけば引き返せない開戦予定日が来てしまったのでした。
 それにしても、宣言を出しては小出し延期で切り上げて波を招き、まんえん防止も緊急事態再宣言も出し惜しんではまた効果なく延期していつうちに、悲惨な医療崩壊を招き寄せてしまいました。現場の方々はやりきれない気持ちでしょう。
 思えば、楽観的な現状把握と見通しのない作戦で始めたガダルカナル戦では、敗退の都度限定的な兵力を逐次投入して再敗退を繰り返し、遂には撤退もできずに島内を敗残彷徨して餓死してゆくという悲惨な事態に陥ったのでした。
 5百人の看護師を集められるが、それは看護師が足りずに入院を受けられない病院にまわさずに、ゴリンにまわす。ワクチンが別途確保できるが、それは未接種の医療関係者にまわさずに、ゴリンにまわす。国民の命より優先とは、ゴリンとは、何とすばらしいものなのでしょうか。