「ウイグル族の暴戻を膺懲する」(1937年)

 辺境ウイグル族暴戻を膺懲し以て猛省を促す 
 「我が政府は、漢族主導と雖も夙に永遠の平和を冀念し、チベットウイグルを始めとする辺境諸民族の自治区に対する親善提携に力を効せること久しきに及べり。然るに辺境民族に於ける排漢侮漢兪々甚しく、以て我が漢族主導政府に敵対せんとするの気運を醸成せり。近年辺境地域で幾度か惹起せる不祥事件何れも之に因由せざるべし。先日のチベットに続き今回のウィグルに於いて爆発点に達したる、神人共に許せざる残虐事件の因由亦茲に発す。ウイグル側の挑戦的行動に拠り漢族人民の生命財産既に危殆に瀕し、我漢族居留民は多年営々として建設せる安住の地に血涙を流すの已むなきに至れり。
 従来より我が政府は、隠忍に隠忍を重ね諸反抗事件の不拡大を方針とし、努めて平和的に処理せんことを企図し、我が駐屯軍及び警察も、婁次の挑戦及不法行為に対して漢族居留民保護の為真に已むを得ざる自衛行動に出でるに留めて来たり。しかるに今回、我が政府及び軍警察が夙にウイグル人民に対して、漢族主導政府及び漢族人民に対する挑戦的言動を即時停止する様注意を喚起したるも拘らず,彼らは我が勧告を聴かざるのみならず、却て益々我が方に対し、厳存の法を破りて顧みることなく、漢民族及び我が軍警察を脅威し、兪々挑戦的態度を露骨にし、遂に我が漢族人民の生命財産に向って暴を開き破壊行動を加ふるに至れり。此の如くウイグル側が我が政府を軽侮し不法暴虐至らざるなく我が漢族居留民の生命財産危殆に陥るに及んでは、我が漢族主導政府として最早穏忍其の限度に達し彼等の暴戻を膺懲し以て猛省を促す為、今や断固たる措置をとるの已むなきに至れり。」
 「此の如きは東洋平和を念願し、諸族の共存共榮を翹望する帝國として衷心より遺憾とする所なり、然れども帝國の庶幾する所は諸族の提携に在り、之がため排外抵抗運勤を根絶し今次事変の如き不祥事発生の根因を芟除すると共に所属日満支三國間の融和提携の実を挙げんとするの外他意なく、固よリ毫末も領土的意圖を有するものにあらず、又支那國民をして抗日に踊らしめつつある南京政府及び國民党の覚醒を促さんとするも、無辜の一般大衆に対しては何等敵意を有するものにあらず、且つ列國権益の尊重には最善の努カを惜しまざるべきは言を俟たざる所なり。」(1937年倭国政府声明)