今まで通り核を使うぞ

 アメリカが、「核兵器使用条件を大幅限定」したのだそうである。何かと思えば、「核拡散防止条約」を順守する「非核保有国に核兵器で攻撃しないことを宣言」したのだそうである。これが、画期的な「核使用条件の大幅限定」で「核戦略の大きな転換」なのだそうである。ニュースには、そう見出しが付けられているのである。
 今まではどうかというと、自分は大量の核をもっていたのである。その大量の核を、いつどんな相手にどう使おうが、全く勝手だったのである。
 そこで、今度の「画期的な大転換」とはどういうことかというと、ニュースの見出しには、「非核保有国に核兵器で攻撃しないことを宣言」したとあるのである。読者は、これまでは非核保有国にも核攻撃をするつもりだったのか、と驚きながらも、しかし今後は、「非核保有国には核兵器で攻撃しない」のか、とやや安心するに違いないのである。だが、それは、マスコミのウソ見出しなのである。
 今までは、大量の核をもっていたのである。これからはどうかというと、相変わらず、大量の核をもち続けるのである。
 今までは「非核保有国」でも核攻撃対象だったのである。これからはどうかというと、「核保有国は攻撃しない」などとは宣言していないのである。非核保有国でも、「核拡散防止条約を順守する」国だけなのである。裏返せば、非核保有国でも、「順守していない」国は攻撃するのである。問題は、順守「しているか/していないか」を誰が決めるかである。もちろん自分が決めるのである。証拠なんか不要なのである。かつてイラクがそうであったように、いまイランがそうであるように、「非核保有国」でも「順守していない」と、勝手にいえば、それでオシマイなのである。「非核保有国でも核兵器で攻撃」することがありうるのである。
 もちろん、それなりにオバマの努力は認めるのである。でも、「非核保有国に核兵器で攻撃しないことを宣言」したから「使用条件の大幅限定」だ「核戦略の大きな転換」だ、などというのは、マスコミのウソ見出しなのである。
 「核拡散防止条約」を順守する限り、順守するとアメリカが認める限り、その場合においてのみ、「非核保有国に核兵器で攻撃しないことを宣言」したに過ぎないのである。実質的には、今までと変わりないのである。
 ダマされてはいけないのである。