消えるものと消えぬもの

 マンガの話が出たので、最近買ったマンガを。
 花輪和一『刑務所の前』全3巻。傑作『〜の中』の「前」なのだが、これまた怪作。
 『寄生獣』の岩明均が連載中の『ヒストリエ』第5巻。もう一度最初から読み直したが、いよいよ本編入りで期待大。
 他に、前から勧められていた山本おさむ『わが指のオーケストラ』全4巻。など。
 新書文庫は読後リサイクル。単行本は原則買わない読まない置かない、のだが、マンガだけは仕方がない。
 しかし思えば、レコード消え、カセットテープやビデオテープも消滅寸前。CDやDVDも含め、かさばるハードな媒体を手元に「蔵する」こと自体が、いずれなくなるであろう。蔵書もまた。
 ペーパーレス時代といわれたとたんに膨大なペーパー資料が氾濫したのは皮肉であったが、しかしいずれ、印刷製本された書物や資料は、長い世紀にわたるその歴史を終えるであろう。もちろん、今のようなテレビやパソコンが消えるか大きく変態するのは目前だから、その後のことになるだろうけれど。
 とはいえ、全てのハードな媒体が消えるのではない。『刑務所〜』や『ヒストリエ』の連想でいうのではないが、ある意味で最も原始的で根源的なコミュニケーションである「殺人」の媒体は、ますます隆盛の一途を辿っている。もっとも、数千発の核ミサイルを「蔵する」国も、最近落ち目で、いささか持てあまし気味ではあるようだが。