草原の幽愁 

 白鵬朝青龍を破って優勝を決めた。一時のハワイ勢力が消え、モンゴル全盛時代がなお続く。
 田中克彦ノモンハン戦争−モンゴルと満州国』(岩波新書)(→これ)が大変面白い。はじめて、これまで「ノモンハン事件」といわれて来た一連の歴史的事態の全貌が、否それより大きく長い草原の歴史が、見えて来た感じ。霧が晴れて来たように、といいたいが、私の目が曇っていたのだろうから、むしろ、凡庸な表現で恐縮だが、目から鱗が落ちるように、というべきだろう。何しろ私の読んだものときたら、半藤一利ノモンハンの夏』(いまは中公文庫にも→これ)などのいわゆる「ノモンハン事件」ものや、山室信一『 キメラ―満洲国の肖像』(中公新書)(→これ)などの満州本は別として、モンゴル草原の匂いのするものは、ただひとつ、安彦良和『虹色のトロツキー』(持っているのは潮出版社希望コミックス全8巻本だが、いまは中公文庫コミック版が出ているらしい→これ)だけだったのだから(^o^)。あ、そういえば「国民的歴史作家」は数に入っていない。