モンスター

 「スリラー」で一世を風靡したMJは死んだ。
 だが、いまや至るところに「モンスター」がいる。それぞれ、実に手に負えない困った人たちであるらしい。
 大変厄介なことに、彼らは、自分勝手な言い分を声高に言い立ててやまない。もちろんそれは、まわりから見ればどうしようもなく無茶苦茶な言いがかりでしかないのだが。けれども当人は、自分だけにしか通用しないその言い分を、とにかくいい立て、曲げず、めげない。矢面に立った方々は、全くもってお気の毒なことである。心労の余り心身症になったり果ては職場を去る人もいるというから深刻だ。
 「たとえ世の中の人々全てがあなたに否といったとしても、たとえ世の中の人々全てがあなたを嘲笑ったとしても、あるいはあなたを黙らせようとしたとしても、あなたはあなたの信じる道を進み、あなたが真実と思うことばを語り続ければよいのです。」
 モンスターにはモラルがないのではない。実にこの数世紀、私たちが押し進めてきた自立モラルこそを、彼らは体現しているのである。問答無用でガツンとやるのはモラルに反する。実に何とも厄介なことである。