「楽しい」時代

 票数も議席数も減らしながらも、結局「圧勝」という見出しで終わりました。制度のからくりもありますし、誰が何といったからとか誰がどうしたからとかもいわれていますが、それでもともかく、どうせ変わらないだろう、下手に変えるよりましだろう、という声が、少なくとも相対過半数だったことは間違いありません。
 ところで最近は、何とかガールとか何とか萌えとか、実に様々な趣味に打ち込む方々がおられますが、趣味ある方々は、その趣味を語ることがまた大変楽しいようで。昔からの釣り談義とか山談義とかの類ですね。
 以前、列車に乗り合わせた知り合いの高校生から、飼っている伝書鳩の話を延々聞かされたことがあります。というか、こちらが聞き出したのですが、ただ飼うだけではなくレースで勝たせるために、どんな苦労があるかどんな工夫をしているか、といった話で、目的の駅に着くまで、大変熱をいれて語ってくれました。もちろん、鳩レースなどというものがあることすら知らなかった私では相手として不足だったでしょうが、それでも話すこと自体が楽しそうで、少なくとも私は、自分には縁遠い趣味であっても、そういう平和な楽しい話を聞くことは嫌いではありません。
 先日、大山顕氏の連続公開対談の本を本屋で見つけました。大山顕という人は、工場萌え団地萌えなどなど、次々と面白いイメージを街中から切り取っては楽しく紹介してくれる人ですが、対談の一方の相手は、「今若い論者に最も影響力をもっている」とどこかで自称されていた東浩紀氏。動物的とか郵便的とかいった言葉の出ている本は表面的に読んだことがありますがそれだけで、日頃から固い評論世界は頭から敬遠四球なのですが、大山氏の方は、写真集を買ったりするほどではありませんが、見かける小さい記事は日頃から楽しく読ませてもらっています。そんなわけで買ってみたのですが、予想通り面白く楽しい本でした。というか、大山氏自身が、とても楽しく熱を入れて「愉快にネタ合戦をしあった」「非常に愉快で実りの多い」「楽しい対談」の記録だと、書かれています。
 で、読んでいて確かに楽しい本だったのですが、それがちょうど選挙戦中のことで、飛躍するようですが、私は「圧勝」を予想しました。というと何だかわけが分からないでしょうが。(続く)