「楽しい」時代4

 趣味の世界は実に多種多様で、ある人にとってはゴミの山でも別の人にとっては宝のコレクション、といった世界ですから、互いに人の趣味をバカにしてはいけません。というか、大体価値観が違うのですから互いに優劣はなく、ほとんどの趣味人はその点お互いに寛容です。
 ただ、自分の趣味やウンチクをひけらかしたい気持ちが強い人もいて、そうなると、他の趣味より自分の趣味のほうが優れているという話になりがちで、中には、わざわざ自分の趣味をバカにする仮想敵を作りあげてバカに仕返す、なんていう、論の立つ人もいたりします。「ボルダリングは最高に楽しいスポーツだ。というと、ロッククライミングに比べるとしょせん管理された安全なお遊びじゃないかとバカにする輩もいるだろうが、たかが岩場なんかに生命を賭ける方がよっぽどバカじゃないのか、とか。(例えば、であって、両方の趣味の方すみません)。
 ショッピングモールはよく管理された閉じられた空間だというと、開放性が欠けているなどと批判する輩もいるだろうが、しかし、「開放性については監視カメラに囲まれ空調の整っている「セキュリティ」の空間と、だれも管理しておらずホームレスが入れるようなアナーキーな空間のどちらが本当に「開放的」なのか、あるいはだれにとって「開放的」なのか」。
 あるいはまた。そんな「監視カメラに囲まれ」「ホームレスが入れ」ないようなショッピングモールはオープンじゃない、公共的とはいえないなどと批判して、「猥雑な商店街あるいはストリートこそが本当の公共圏だと主張」するような輩がいるだろうが、「でも 〜 ひげ面の3,40代の男たちが日本酒を片手に安部政権を批判しているのが果たしてオープンといえるのか(笑)。むしろそれって本当は「威圧的」」じゃないか。
 ちなみに、街の商店街というのは酒を片手に「安部政権を批判している」ような所なのかどうか知りませんが、東氏は、どうも「この国の左翼的運動」はお嫌いなようで、(もっとも以前、大塚英志氏との対談では、「期待するからいうのだけど、それでいいのか」とイライラする大塚氏に「どこがですか。私は大塚さんを尊敬していますよ」、といってますますイライラさせていましたが)、少なくともここでは、商店街をバカにする際に、「安倍政権を批判しているのが果たして〜」といって、「上司の悪口をいっているのが果たして〜」とか「韓国の悪口をいったりしているのが果たして〜」などとはいいません。ま、これもひとつの趣味ではありますが。(続く)