自由だぁ~!

 さて、そんなわけで、といってもどんなわけか前回のことは忘れましたが、普通に暮らしている限りでは、自由と不自由は地続きというか裏表というか、ごちゃごちゃになっていて、だから実に厄介でもあれば、だから世の中何とか動いてもいるのだろうという程度のことは、学者世界のことは分かりませんが、庶民はおそらく日々体感しています。

 させられているのかしているのか、させられているからするのか、られなければしないのか、こんな仕事させられてやってられないと思いつつ、あと少しだから今日中にと思ったとたん、普段は人使いの悪い課長が「今月はもう残業つけられないから、上がってくれや」といったりするのを、課長はほんとに帰らせようとしているのか、それとも本音は残業代なしでやらせようとしているのか分からないままに、結局こんな仕事を明日まで持ち越すよりはと思い直しやり終えて、やれやれと駅前まで来ると、ティッシュ配りのバイトの子がかわいいので手を出そうとすると、ちょうど手持ちのティッシュが切れて、箱から出そうとしているので、立ち止まって待っているのも何だしと、通り過ぎたのだけれど、そこで・・・一回りして来てティッシュをもらうのも、あきらめてそのまま改札口に向かうのも・・・自由だぁ!・・・ティッシュ is Freedom ! ティッシュ is Freedom !

 犬井ヒロシのサングラスはベルモントを意識しているのかどうか知りませんが、「気狂いピエロ」が出た時代まで一世を風靡した、人間は「自由だ!」といった哲学者は、やがて群論と人類学を重ねた学者の批判がきっかけで、以後は彼を攻撃するのが流行りとなり、「現代」をけなすのが「現代」思想だとなってゆきます。人間は自由な主体でなく、オリジナルな作者でありえず、人間の時代はオワタ、ということになるのですが、「自由の意識」に「不自由の無意識」を突きつけてみても、学者世界では知らず、庶民の生活次元では、それがどうしたということで、いつの間にか、どうなったのか分からなくなっているようです。(また横道に入ってしまったので、あと少し)