暖い冬、寒い世の中

 気まぐれなこと甚だしく、蟄居のまま2月半ばを迎えたと思ったら、とたんにハードの不調に陥り、ようやく回復したところです。それにしても、暖かい冬です。
 「サッポロビール」という文字が新聞のトップに出たので、何かと思えば、株の話で、私にはさっぱり不案内なことながら、最近よくニュースになる話題です。アメリカの企業が経営権を握るぞと株の大量買い取りに乗り出したというのですが、どうやらホンネは、経営ではなく金転がしにあるらしいとのこと。そういう強面宣言をして買い進めてゆくと、経営権を握られては大変と、友好的な銀行なり企業なりが対抗的に高値での買い取りに乗り出す。そこで一転、保有株を売り抜けて、濡れ手で粟。・・・脅して金をゆすり取るとは、まるでヤクザですが、今の時代は、これこそがマットウな金儲け術だとか。
 アメリカのみならず、従来の「先進国」は、いずれ近い将来、物作りよりも金転がしでやってゆく国にならざるをえないのでしょうか。しかし思えば、こういう濡れ手で粟の金儲けは、巨額の資金(あるいは資金を集めうる力)と、ごく少数の人材だけでできる仕事です。こうして、「先進国」には、濡れ手を持った少数の人々と、彼らにサービスをしておこぼれに預かる人々と、そしてそれ以外の多数の人々が存在することになるのでしょう。で、多数の人々は、することがないので何もできず、したがってどんどん貧しくなってゆく。
 などと今更いっても・・・。「濡れ手で粟」が跋扈する世の中にすることが「改革」であり、そういう世の中が(正確にいえば、そうなっても多数の人々が反抗しない世の中が)、「美しい国」だというのですから。