<変>な新聞広告(1)「鬼才」片岡敏郎

 最近ちょっと用があって、図書館の奥の機械室に机を置いてもらって、古新聞を調べているのだが、実に不思議なというか、「変!」としかいいようのない広告があった。何十年も前の新聞だから、載っている広告にも結構「変」なものは時々あるが、しかし、昨日、薄暗い機械室の片隅で、これ(「東京朝日」1935(昭和10)年6月1日)にぶつかった時には、たまげてしまった。
 このイラストとこのキャプションは、一体何であろうか?!
 当時の横書きは右からなので、「歯磨スモカ」である。「スモカ歯磨」というのは、古くからある。「スモカ」つまりsmokerのための歯磨きとして、かつてはよく使われていた。
 どうやら、幽霊が出現したらしい。 「・・・喫煙者であった幽霊であろうか・・・迷わず成仏、ではなくスモカ歯磨きを・・・」、ということなのだろうが・・・
 調べている目的とは違うのだが、このまま古新聞の束の中に埋めてしまうのは、余りにももったいない。ここで紹介することにしよう、と思ってコピーをとったのだが・・・
 ところが・・・「スモカ歯磨き」のHPを見てみると、恥ずかしいことに、私は全く知らなかったが、これは、どうやら、「我が国広告界の鬼才」と言われた「片岡敏郎」という人の作品らしい。というより、スモカ歯磨そのものが、彼の企画立案によるものだという。
 スモカ歯磨きや片岡敏郎については、是非スモカ歯磨のHPを見て頂きたい。片岡敏郎の年譜もあり、広告イラストも何点か紹介されている。この「幽霊もの」はないが、おそらく片岡のものに間違いないだろう。『片岡敏郎スモカ広告全集』という本が1985年に発行されているとのことなので、そちらには収録されているのではなかろうか。