段ボール肉まんと農林大臣

 中国の<バチモン・ランド>について「いいじゃないか」と書いた(ここ)のだが、毒入りの野菜だの魚だのいってるうちに、遂に「段ボール肉まん」まで現れたのはあきれたことである。
 バチモン売りは、あくまで「商い(あきない)」であってほしい。商人(あきんど)は、お客さんに喜んでもらって、儲けさせてもらうのである。騙したり裏をかいたりする相手は、法外な価格でボロ儲けをしている、ブランド、パテントをもった大企業であって、お客さんではない。(どうしてもここは、関西弁がふさわしいのであるが)「えらい安いやないか」。「それはまあ、アレですさかい」。「やっぱりなあ。そやけど、ちょっと持ってる分には分からんなあ。ようできてるわ」。「そりゃもう。立派なもんでっせ」。「ほな、もらおか」。てなものである。あるいはせいぜい、「どや、これ。いくらと思う?驚く勿れ○万円や」。「ちょっとあんた。このマーク違うがな」。「え?まんまと騙されたな〜。安いと思ったわ。ま、勉強代と思とこ」。「ホンマにもう、しっかりしてや」。もちろん実際には、こんな牧歌的なものではないのがほとんどだろうが。
 例のミートホープの社長は、一応謝罪しながらも、言外に「他の原料を使って豚肉に見せかける技」を自慢しつつ、「表示しておけば問題なかったのだが」というような意味の悪あがき発言をしていた。しかし、あの社長も、段ボールを豚肉にみせかける屋台店主の「技」には勝てないだろう。ま、二人とも、お客を騙すようなことをしないで、自分たちの「技」を生かしていれば、「ニューミート(仮称)」とか「新豚まん(仮称)」が、「かにかま」並みに市民権をえられたかもしれないのであるが。いや、それはないか。「原料:段ボール」と正直に表示した肉まんなど、誰も絶対買わないだろう(^o^)。
 「自分じゃ食べないよ」というような物を作って売っていた肉まん屋は、商人の風上にも置けない。しかし、考えてみれば、レポーターにホントのことを言ってしまった彼は、ある意味、<正直過ぎた>のであって、いっそ悪に徹するのなら、彼は、こう対応すればよかったのである。「原料は何ですか」。「ちゃんとしてますよ」。「それなら原料を公表してください」。「屋台の商品の原料を公表しなければいけないという法律はないでしょ。私は、法律にのっとって、やっています」。「まるで日本の大臣みたいですね」。「そうです。日本の農林大臣と同じです。法律で公表しなくていいことになっているのだから、法律にのっとって公表しません」。「実家のお父さんは昨日、"うちの肉まんには、豚肉は入ってないよ"、といわれましたが」。「いや、実家でも、"長年豚肉を入れてきた実体はあります"、と、前言を翻す筈です」。