にっポン! にっポン!

 内外の抗議に蓋をして、はじまったようですね。こちらでも当分、「にっポン! にっポン!」と、いささか五月蠅いことでしょう。
 しかし、どこかで誰かも書いていましたが(失念)、それでも長いスパンで見れば、「何が何でも自国応援」というような人は、次第に少なくなってゆきつつあります。テレビだけでなくネットを通して、世界中の関連情報が、どんどん日常的に入って来る時代ですから、注目すべき選手がいれば国籍を問わず拍手するのが人情の流れでしょう。例えば実際、杉山愛のファンよりシャラポアのファンの方が多いのじゃないですか。いやこれはちょっと別の、けしからぬ男性ファン票があるからかもしれませんが(^_^;)。
 近代オリンピックを始めた男爵は、できれば、参加男性が、それぞれ背負っている全てを脱ぎ捨てて裸で競い合った、古代ギリシャのそれを復刻したかったので、女性の参加にも反対し、個人参加方式で始めたようです。でも、時代の流れとともに、五輪イベントがアマチュアエリートの手から庶民の手に渡ると、「カネ」と「国」がでかい顔をしだします。高給の専属コーチを雇ったり大勢ひきつれて海外長期トレーニングに出かけたりなど、スポンサーや国の支援がなければ到底できることではありませんからね。で、スポンサーや国は、自分たちの支援を高く回収するためにも「にっぽん」を連呼し、にっぽん人なら応援すべきだという雰囲気を作ろうとします。
 しかし庶民は、この期間だけお祭り見物に参加したい気分なのですから、「にっぽんチャチャチャ」的に応援するのもその種目が強ければこそですし、終われば案外けろりと忘れ、それどころかマスコミにもあまり取り上げられない種目には、はじめから関心の持ちようもありません。県庁や駅前のビルに「祝、本県出身選手五輪出場!」と書かれた大きな垂れ幕が出ていても、誰がどの種目に出場するのか、道行く人に聞いても知らないといった、気の毒なことも起こるわけです。もちろん、別にそれでいいわけで。