温暖化時代

 予測されていたことですが、アメリカがいよいよ原発大量建設へと動きだしました。いずれ尻馬に乗って、こちらでも同様な動きとなるのでしょう。いや、ずっと前から着々と、「温暖化を救うクリーンエネルギーは原子力です」というCMをうっています。
 環境派の宣教師といわれるゴア氏は、蓄積するCO2による地球温暖化が世界的な危機を招くと煽ってきたのですが、「原発産業」と深い関係にあるゴア氏は、実は最初から原発推進宣教師だったのでしょうか。
 温暖化どころか逆に氷河期に向かっているのだといった説や温暖化した方が諸事いいのだといった説などに安易に乗るのもどうかと思いますが、温暖化を声高に主張する際に使われる諸データが偽造を含むものであることは、かなり明らかになりつつあるようです。とはいえ、その辺りのことはまだまだはっきりしませんし、とにかくエネルギー使用を抑制すること自体は、結構なことであることは間違いありません(→参照)。けれども・・・
 「ご承知のように、地球の最大危機は何かといいますと、われわれがずっとキャンペーンしてきましたように、温暖化にあります。温暖化の元凶は石油にあります。汚れたエネルギーである石油からクリーンなエネルギーへの転換が、地球を救う急務なのであります。だが風力もバイオもいかんせん微力でありまして、実に原子力こそが、地球を滅亡から救うのであります。コスモクリーナーなのであります。
 なるほど、かつてスリーマイルとかチェルノブイリとかがありましたが、そんなものは昔のことであります。今、地球規模の危険は何かと申しますと、温暖化ともうひとつ、われわれがずっとキャンペーンしてきましたように、テロなのであります。テロは至るところで起こります。でもそれら全ての発生源、指令部がどこにあるかといいいますと、ご承知のように産油国付近にあるのであります。産油国付近の危険を押さえ込むことが地球の安全に不可欠なのでありまして、われわれは、テロの大本を叩きつぶすために、日々爆撃しているのであります。
 今申しましたように、温暖化から地球を救うのはクリーンな原子力エネルギーでありますが、この原子力というエネルギーは、幸か不幸か、使いようによっては大変危険なのであります。産油国付近はテロ連中の発生源であり温床でありますから、あの辺には絶対に原子力技術を禁止しなければなりません。原子力エネルギーの自主開発を進めようという兆候があった場合には、危険国家のレッテルを貼ってストップさせればよいのであります。
 さて、以上のように、温暖化キャンペーンが功を奏して、原子力エネルギーへの一時の逆風は、すっかり順風に変わりつつあるのであります。またテロキャンペーンが功を奏して、われわれの原子力技術独占を非難する国に対しては、テロ国家だと逆非難すればよい流れが認められつつあるのであります。
 核兵器と同様に、原子力エネルギーそのものを、われわれだけが開発し所有し利用できるものにしておかねばなりません。われわれだけが核兵器を独占し、他の国はわれわれに従えばよいのであります。われわれだけが原子力産業を独占し、他の国はわれわれから買えばよいのであります。」