3種類?

 トヨタの社長豊田氏がアメリカの公聴会に出席するとのこと。厳しい場になることが予測され、氏の発言ひとつで、トヨタだけでなく今後の日本経済が大きなダメージを背負い込むことになると、注目されています。
 例えば「誠実に説明します」といってましたが、「誠実」にも文化の違いがあるので、日本人なら誰しも考える「誠実に謝罪する」というような発言をしてはいけない、「誠実に問題に対処する」という姿勢で通すべきだ、とアドヴァイスする人もいます。確かに、そういうこともあるでしょう。
 しかし、それ以前に、豊田氏は何語で話すのでしょうか。氏は、アメリカに留学して修士をとっているそうですし、普通のレベルでは、議員とのやりとりに不自由はないでしょう。しかし、上記のような文化の違いを背景とした微妙なことばのアヤを考えると、英語での応答にはリスクが伴うでしょう。かといって、用意されているらしい通訳を使えばかえって誤解される場合もあるでしょうし、もしかすると通訳を使うこと自体が率直さに欠けると受け取られるかもしれません。(思えば、スケールが違うとはいえ、日本に在住する外国人たちも、裁判所に出廷したり、警察や役所に出頭したりする場合に、もっとシビアな事態に直面したりしているのでしょうが。)
 考えてみると、ことばだけではないですね。ご承知のように、「メンチを切る」とか「ガンをつける」とかいうことばがあるように、日本では、視線を合わせることは敵意を表します。逆に、恭順の態度を示すには、何より視線を「はずす」ことが大事です。謝るときには、「顔を上げない、視線を合わさない」。ところが、逆に、視線を合わさない謝罪は、重要なことを隠しながら口先だけで謝る態度だ、と受け取る文化もあるようです。
 さて、どうなりますか。