国外はダメ、せめて県外へ

 ニュースから。
 ○「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」の民主党議員らは、テニアンサイパンを視察し、グアム州知事北マリアナ連邦知事から、「基地はぜひテニアンに移して欲しい」という、鳩山首相宛ての親書を預かって来た。この親書には、13日に来日して鳩山首相と面会したいという両知事の希望も書かれており、鳩山首相も両知事との面会を希望。ところが、官邸サイドがこれを拒否した。
 ○鳩山首相は13日、全国知事会の緊急開催を要請し、「沖縄の負担を全国で分かち合う」ことを知事会に問いかける姿勢を打ち出した。知事の間では消極的な意見が多いが、大阪府橋下徹知事は、強く歓迎の意向を表明した。
 全マスコミ・ニュースの問題点、というより故意の誘導点は、問題を、普天間基地(飛行場、機能)の「移設問題」「移転問題」としていることである。
 首相ブログには、「基地問題は国民全員で考えていかなければならない。すべての国民に理解いただき、負担を分かち合う気持ちを持っていただければ」、とあるらしい。ある意味、真面目な人ほど、こういうことばに弱い。「沖縄にだけ負担かけ続けるのは心苦しい。そういいながらこちらは引き受けないというのでは、確かに無責任だよなあ」、などと悩んだり、橋下発言なんかに考え込んだりする。
 それがゴマカシ誘導である。「基地問題は国民全員で考えていかなければならない」という前段が「沖縄の負担は全国で分かち合うべきだ」という後段につながるように見えるのは、既に繰り返し、「基地問題」は「基地移転問題」と読めという誘導がなされているからである。誘導といって悪ければ、刷り込みであり洗脳である。「移転、移転」と刷り込まれてしまい、「基地問題」という見出しから「基地縮小」や「基地廃止」を連想することができなくさせられている。
 誘導にごまかされてはいけない。悩む必要はない。橋下がはっきりいうなら、こちらも単純にはっきりいおう。基地拒否は地域エゴではない。沖縄も徳之島も、そして全国どこもが、基地を拒否すればよいのである。
 アメリカがテニアンにしようがどうしようが、それはあちらの勝手である。こちらはただ、「沖縄からなくせ、日本からなくせ」、といえばよい。全国どこでも「うちには置くな」といえばよいのである。
 だが、どうも以前から、内閣全体の動きは、「国外か、せめて県外へ」ではなく、「国外だけはダメ、せめて県外へ」であった。
 闇の司令部は、少なくとも一味は、どうやら外務省らしい。アジア地域の紛争や戦争の「抑止力」とは、アメリカ軍の基地強化ではなく、アジア諸国間の友好関係を推進する外交力である。だが内閣省庁には、アジア友好の外交力がない。歴史に逆らって、何とかアジア敵視アメリカ同盟という廃屋を守ろうと、戦争好きな連中と一緒に、「抑止力」を「武力」に、「基地縮小」を「基地移転」に読み替えるよう、誘導しようとしているのだろう。
 刷り込まれたまま「どこかへ」という押し付け合いが6月以降も続くのか。それとも、刷り込みの呪縛が解けて「どこにも」という大転換が起こるのか。