闇深く

 イラク派遣の空自隊員が国を提訴する、というニュースが、今日の各新聞にありました。(Web版による)。
 よく知られているように(でもない?)、アメリカの戦争というのは、どんどん民間「戦争業者」に下請けさせるわけです。怪我したり死んだりしても、国は責任とらないですむという、便利な仕組みです。派遣されていた航空自衛隊員は、そんな「軍事関連企業に所属する」米国人女性の運転する米軍のバスにはねられ、意識不明の大怪我をしました。ところが、自衛隊は、治療設備がないのに、早期帰国を申し出ても認めず、首にコルセットをはめる程度の処置をしただけ。そのコルセットさえ、防衛庁長官の現地視察の際などには、上官から外すよう命令されます。帰国後、医師から「なぜ放置したのか」と聞かれたが、すでに遅く、口がほとんど開かなくなって、今は流動食しか食べられず、身体障害者4級に認定されているとのこと。しかも、自衛隊は、本人が申し出るまで、公務災害補償の手続きもしません。ひとえに、「米軍とのトラブルを避けるため」、また無傷帰国の実をあげるために、「事故を隠すような態度に終始」し、「事故はないことにされた」のでした。(もちろん自衛隊は、バレてなお、「早期帰国の申し出があったとは承知していない。隠すつもりはなかった」、などといっています。)
 頭の悪い人・・「たとえ自衛隊がどうであれ、米軍というのは、都合の悪い事故は絶対に隠しません。私が信じているのですから、間違いありません」。「<オスプレイは構造そのものに無理があって操縦ミスが起こりやすいという欠陥がある>という報告書が出ていますが、墜落事故は操縦ミスであって機体が壊れたということでないという米軍報告がありますので、安全です」。
 頭のいい人・・「早期帰国を申し出たのに認めなかったといっても、本人がいってるだけでしょう。自衛隊が認めなかった、拒否したという記録が、当の自衛隊にない以上は、本人や周りが何といっても、隊としては何もなかった、ということになります。旧日本軍は、敗戦時に、不都合な記録を大量に焼却処分していますが、それは、組織にとって正当防衛です。なお、証拠隠滅罪というのは、「他人の刑事事件に関する証拠」にのみ適用されるのであって、自らにとって不利な証拠を消滅させることは、たとえ刑事事件であって、何ら問題ではないことを申し添えておきます。仮に、仮にですよ、何らかの書類が焼却以前にあったとしても、消えてしまえば証拠ではありません。である以上、慰安婦だとか何とかいっても、証拠がなければ、それはなかったということなのです」。