人名の軽重

 今日のトップ大ニュースは、「アルジェリアで邦人を含む死傷者多数か」、ということのようです。
 「軍」ということばがあります。辞書的な定義では、「政治的な目的をもって組織された武装集団」とでもなるでしょうか。反政府軍、革命軍、反乱軍、解放軍などということばからも分かるように、国家の軍隊とは限りません。
 さて、今回のアルジェリアのニュースですが、なぜ多数の死傷者が出たかというと、アルジェリア軍(つまり武装集団です)が攻撃したからです。ではなぜアルジェリア軍が攻撃したかというと、政治的目的をもった武装グループ(つまり軍です)が人質作戦をとったからです。ではなぜ彼らは人質作戦を決行したのかというと、フランス軍が、マリを空爆したからです。
 ではなぜフランスの軍が、わざわざアフリカのマリに出ていって空爆したのかというと・・・申し訳ないことながら、ここから先は私にはよく分かりません。しかし、いずれにしても、背後にあるのは、アルジェリアもマリもフランスの植民地だったという事実でしょう。マリだけでなく、アフリカ各地でやまない激しい内戦、内乱の内実については、池上彰氏でもなければ簡単には分かりませんが、その原因を追ってゆけば、いずれ西欧列強のアフリカ植民地支配にゆきつくことは間違いありません。
 もちろん、そこまでの遡った記事は期待しませんが、しかし、先進国の人々を含む今回の「死傷者」と、空爆によるマリ人の「死傷者」の間には、やはりニュース価値に、つまりは生命に、軽重があるようです。