追記:一番上には

 都知事が次第に追いつめられていますが、猪瀬氏のうさんくささをとっくの昔から指摘していたのは、ウワシンこと『噂の真相』でした。しかしウワシンは、数年前に、惜しまれながら終刊を迎えます。編集発行人だった岡留氏によれば、ウワシンを打ち切りにせざるをえなかったのは、個人情報保護法の成立によって、権力の裏情報をとることができなくなったからだそうです。
 今日の新聞に、半藤一利氏の談話が出ています。個人情報保護法以後は、例えば戦時中の記録を調べに防衛省の研究所に行っても「「個人情報保護」にかこつけて見せてくれなくなった。〜つまり事実上の閲覧拒否です」。
 政府は、「知る権利」を否定するものではないといっていますが、現在でも、彼らのいう「知る権利」とは、「当局が知ってもよいと認めたものを知る権利」、に過ぎません。
 ところがさらに、今回の法律です。半藤氏はいいます。「個人情報保護法だけでも参っていたのですが、特定秘密保護法ができた。絶望的な気分です」。「手も足も出なくなります」。(旧帝国軍隊の批判に精を出すような論者は改憲−軍備増強のジャマだ。手も足も出なくさせることこそが狙いだ。と、ほそく笑んでいるのでしょう)。
 ところで新聞の別の面に、「提出資料 真っ黒」という見出しの記事が出ています。都議会の総務委員会で知事関係の資料を提出させてみると、黒塗りだらけ。「あるページは完全に黒塗りで文字も読めず」、日付だけで「何の資料かすら分からない」ページも。
 「真っ黒じゃないか」と、「都議から怒声が飛んだ」そうですが、「都の担当者」は、「外部の個人や団体が特定されたり、東電の業務に影響が出たりしないようにした」と説明したとのこと。
 前回書きましたが、特に与党の議員などは、「決めるのは俺たちだ」と日頃から威張っているようですが、実はそれほどエラくないのですね。「担当者」つまり下っ端官僚が、「東電の業務」を護るために「見せない」と決めると、「真っ黒」な資料しか見ることができないのですから。
 今後は罰則もついて、都議会でも国会でも、議員はもっと手を出せなくなります。自分の首も絞める法律を作るなんて何とバカなんだと、大谷氏がいったことを否定できません。
 議員「質問するために資料を見たい」。担当者「お見せできません」。
 議員「秘密資料じゃないだろう」。担当者「そうかどうか私には判断できません」。
 議員「上に問い合わせろ」。担当者「問い合わせても、秘密かどうかは秘密だといわれます」。
 議員「秘密指定されてないものまで隠すのか」。担当者「そうかどうか分かりませんので、万々一後から秘密にすべき資料だったということで罪に問われると困ります。とにかくお見せできません」。
 議員「しかし資料はここにあるのだろう」。担当者「あるかどうかもお答えできません」。
 と、議員も下っ端官僚にあしらわれることでしょう。
 もちろん、官僚が、議会で取り上げて法改正などが必要だと考えた時は、これとは正反対。議員を使って、積極的に情報資料を提供し誘導します。
 議員と官僚のどちらが上かは、分かりますね。
 ところが、じゃ、一般省庁の官僚が一番上かといえば、もっと上がいます。特捜部とか公安とかいった怖い人たちには、資料を黒塗りで提出などできません。さらに上に・・・小説ではよくありますね。どこか上の方から「闇の声」が下りてくる。「その情報は削除しろ」「これは誰かにリークさせよ」「あの議員を黙らせろ。引っ掛けられる情報を探し出せ」・・・