ビジネス時代

 ちょっといい加減な書き方をしてしまいました。といっても、それぞれ、ネットで拾った文を集めただけなので、いい加減な「書き方」ではなく、いい加減な「取り上げ方」ということなのですが。
 「保育園落ちた日本死ね」状況については触れませんが、「ボランティアツアー」についてだけ、少し補足しておきます。といっても、「ボランティア」というのは単純な問題ではなく、私などが簡単に取り上げられるようなことではないのですが。
 以前、福祉ボランティアで有名な杉良太郎が、「偽善とか売名とかいわれませんか」と聞かれて、「ええ、偽善で売名ですよ。みなさんもおやりになればいい」、と答えたのが実に男前だと評判になりました。そういえば東出昌大がモットーを聞かれて、こちらは自分のことばではなく漫画の中にあったらしいのですが、「しない善より、する偽善」と答え、これも共感を呼びました。確かにそれは、その通りです。
 しかしボランティアには、更にビジネスが入って来ます。例えば、笑っている子どもの写真に「途上国の子どもたちの笑顔がみたい」といったコピーをつけ、「売上の一部を援助活動に寄付します」と付記した広告を出して、思惑通り売上が増加し、その「一部」だけを寄付したとして、これも、やはり「しないより、するビジネス」ということになるのでしょう。
 「ツアー」もそのひとつです。昔から「修学旅行」は「修学+観光」旅行だったわけですが、最近では学校ぐるみの旅行だけでなく、ネットを開くと、災害地や途上国などに出かけて、いろんな支援体験をしようという、「ボランティアツアー」、「スタディツアー」、「国際貢献インターンシップ」などなどの募集案内が並んでいます。大学、自治体、諸団体、そして旅行会社が、それぞれ企画し主催する「支援・交流・学習・観光」ツアーですが、それらもまた、「しないより、するツアー」ということになるのでしょう。
 旅行会社が、例えば、「大寺院を見学した後、貧困地帯をバスで巡り、学校や施設を訪問して子どもたちと交流する」という企画をたて、それを大学が「海外スタディツアー」としてカリキュラムに組み込み、国がその事業を補助する予算をつけ、そして参加した学生が就活のエントリーシートにその体験を記し、企業が書類選考で、高校、大学を通しての「ボランティ活動証明書」「ボランティア、スタディツアー単位取得書」を、ポイントして評価する。それらもまた、「しないより、するボランティア」「しないより、するスタディ旅行」、ということになるのでしょう。
 けれども、世の中、何事もそう単純ではありません。「しないより、する方が」の裏面には、常に、「するより、しない方が」が貼り付いていることを、岩下明日香氏の『カンボジア孤児院ビジネス』(→これ)を読んで、改めて感じたところです。