滅びる

 「承前」。といっても、筋は通っていないし、昨日との接続さえ怪しいが。

 昔の学生は「アルバイト」などとドイツ語で<教養>をひけらかしたりしたが、今は、少なくともドイツ文化に惹かれてドイツ語を学ぶ者より、政府や「空気」がどうであっても、韓国文化に親しんでハングルを学ぶ若者の方が多いだろう。
 ソウルで「反日デモ」(と報道された「反安倍デモ」)の現場に、目隠しして腕を広げて立った桑原功一氏のような青年もいる。傍らの看板にこう書いたという。「私は日本人です。日本には日韓友好を願う多くの市民がいます。韓国でも同じだと思います。私は皆さんを信じています。皆さんも私を信じてくれますか? もしそうなら、ハグを」。結果、暴力も罵倒もなく、多くの参加者からハグされたとのこと。
 もちろん、文字通り「反韓デモ」をして「帰れ!」などと大声で叫んだりたりする若者もいる。しかし多分、高学歴で高年齢のネトウヨの方が<根>が深い。「今」への不満ではなく、20年あるいは30年かけて感じ続けて来た喪失感と、この先き滅びるのではないかという不安感を背負っているからだろう。

 ネトウヨ嫌韓を批判して、「日本が韓国を敵対視するのはおかしい」、「韓国国民が感じる反日感情を理解する」、というユニクロの柳井会長は、滅亡不安が嫌韓を生むというよりむしろ、嫌韓が滅亡への道を示しているという。
 「日本が韓国に反感をもつようになったのは、日本人が劣化したという証拠だ」。「今までの30年間、世界は急速に成長してきたが、日本はほとんど成長できず、先進国から中進国になっていって、もしかしたら開発途上国に転落してしまうかもしれない」。「このままでは滅びる」、と。(続く)