2017-01-01から1年間の記事一覧

 武士道について4:「武士道」という新語

というわけで、新渡戸の『BUSHIDO』は、あくまで西洋人向けに英語で書かれたアピールでした。 特に日本史の専門家でもなく、しかも今いるのはアメリカで、当時はネットで調べることなんかできませんから、手元に何の参考書もない。それでもいいのだ。どうせ…

 武士道について3:野蛮人と文明人

新渡戸が『武士道』を書いたのは、1899年。日清戦争と日露戦争の間です。 日清戦争は、いうまでもなく清国との戦争です。相手は、衰えたりとはいえ東洋の大国、眠れる獅子。西洋人たちは、とても日本が勝つとは思っていなかったでしょう。ところが、小さい島…

 武士道について2:士魂と洋魂

大体、『武士道』の新渡戸も『葉隠』の山本常朝も、一筋縄では捉えられない「ヘンなオジサン」で、とても、「失われた過去の気風(美風)」を紹介するというような単純な話ではありません。 先ず新渡戸から。 「和魂洋才」あるいは「士魂商才」という言葉が…

 武士道について1:売り込み戦略としての「道」

(「帝国の慰安婦」という題をつけながら、肝心の本を読むのはこれから、というところで、当然まだ<続く>のですが、飽きてきたので、別のことを挟みます。というか、大体、寝る前に日記を書くような感じで適当なことを適当に書いているだけですから、どう…

 トランプ・アズ・ナンバー・ワン

マジシャンのトランプマンではなく大統領のトランプさんの方ですが、評判が甚だよろしくありません。大勢の人が、怒ったり呆れたりしています。当然のことです。何より、移民や難民の受け入れを中止したり制限したりするのはよろしくない。それはいけません…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性24 

確か先週、ラ・ボエシの「自発的隷従論」の文庫本が平積みされているのを見かけ、見かけただけで買わなかったのですが、今日たまたま斎藤美奈子の「文庫解説ワンダーランド」という岩波新書を買ってみると(相変わらず面白い)、ちくま学芸文庫「自発的〜」…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性23

予想通りながら、首相は「関与しない」と言い張るのみならず、疑う者に激怒し、追求者は及び腰、その上安倍批判はウヨ批判だと援軍まで出動とか。 9月3日、安倍総理、財務省理財局長と面会 9月4日、安倍、大阪へ。森友学園工事関係者、近畿財務局、大阪航空…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性22

戻れない女たち・・・ 韓国外務省は、少女像の移転が望ましいと表明。どうなるにせよ、打算の行方によって、いずれ示談和解友好のために、トゲは移されたり死んでいったり忘れられたりしてゆくのでしょう。諸行無常。 「七人の侍」といえば日本映画史に輝く…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性21

「何を訳の分からないことを・・。素人さんが、イチャモンとか何とか、なれないことに口を出すのはやめた方がよござんすよ。 私らには事情はよく分かりませんが、いってみれば、こういうことで。 ・・・・・村娘が泣き止まず村人の怒りもおさまらず、困って…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性20

(承前)今日は、完全な言いがかり、いちゃもんモンスターでしかありません(^^)。はじめにお詫びしておきます。 『帝国』という本と『忘却』という本。まだ開いてもないわけですが、ごくごく大まかにいうと、「帝国」は、元慰安婦を怒らせ、かなりの韓国人を…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性19

ようやく例の事件も取り上げられる機会が増えてきたようで(例えば→これも)、どうやら私の書いたことにもかなりの誤りがあったようです。ここでは訂正しませんので、是非それら新報道をごらんください。 ということで、この事件については、もう私などが口…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性18

(3)「意に介さない」でも「意を解する」 昨日書いたことは、あるいはズボラな私の偏見過剰憶測なのかもしれません。というか、実は、以上は前置きのつもりなのです。 首相との関連が非常に強い学園への国有地の実質無料提供という不正処理疑惑、そして、…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性17

もっと先に書くつもりだったのですが(大体、タイトルに掲げた本の内容に全く触れないまま横道というより道端の叢ばかりうろついているのですが)、全くのところどうかしている以下の件に関連しますので、少し書くことにします。 (1)事件について 前回も…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性16

私なんぞのいうことじゃありませんが、「天皇の戦争責任」という言葉がありましょう。そういえば昔、天皇その人が戦争責任について記者から質問されて(その頃は今とは違って「記者」がいたんですね。いまは「記者」なんかいないらしく、内閣がひっくり返る…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性15

私としたことが、堅気の方相手に、出過ぎたことをお話ししたようです。全てがアイマイだとか失礼なことをいいましたが、みなさんの世界はそれはそれでよろしいのじゃないでしょうか。曖昧なまま談合示談でごまかしごまかされ、弱者少数者を犠牲にしながら、…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性14

「私たちの子や孫に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」(安倍)。 失礼ながら、何いってんですかね、このひとは。これも入れ替えてみれば、ほんとの意味が分かります。「彼らの子や孫に謝罪要求をさせてはならない」。彼らの子孫に命令しているのです…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性13

いや、私なんぞに何もいうことありやしませんよ。堅気の方々には堅気の方々の流儀があるでしょうから。もちろん私らは、ケジメとか責任とかで生きているようなもんですから、そりゃ違いますけどね。何というか、世界が違います。 「手打ち」ですか。それも誤…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性12

「え、そうなんですか。・・・そういえば、セウォル号沈没という大惨事がありました。まあ、船長一人が悪いわけではないですけど、ひどい船長でしたよね。大勢の乗客を残して、自分だけ先に逃げ出した様子が放映されましたが、なんか半分下着姿だと思ったら…

 左足ブレーキ

出ましたね。今日の朝日夕刊、一面トップです。 「自動ブレーキ義務化検討」 先見の明はもちろん私ではありません。ご紹介したように、吉田武氏が記事(→ここ)で、「警察庁と国土交通省、自動車メーカーの3者が裏で結託しているのではないか」と書かれてい…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性11

「それは分かりますよ。例えば、家族を暴走車に轢き殺されたとして、しばらくして、相手の運転手から、「いや申し訳けない、謝ります。示談金払いますよ。その代わり、これで手打ち、これで終わりですよ。今後は責任を問わない。これ見よがしな地蔵も移転し…

帝国の慰安婦:安堵の共同性10

「解放されたくてわたしは引っ越し先の物件を探しました。でも、やめました。わたしに必要なのは解放されることではなく、いつまでも自らの罪に囚われていること、それだ、と改めて気づいたからです。〜忘れてはいけないのですよね。」(伊坂幸太郎『首折り…

 左足ブレーキ

一時期、「少年犯罪が急増中!」というニュースが「急増」しました。実際のデータでは増加どころか減少中でしたが、そんな事実はそっちのけで、次々と少年による事件や犯罪が報じられ、やがて少年法改正ということになったのでした。どこかにシナリオがあっ…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性9

朴裕河氏の裁判に関する小さいニュースが流れました。この雑文の表題にある「帝国の慰安婦」、正確には『帝国の慰安婦−植民地支配と記憶の闘い』の著者です。日本では、日本語版が言論人に高く評価紹介されますが、韓国では告発されて発禁になり、それを上野…

 アメリカ様、とにかく中国だけは、何とかひとつ。

オバマの最終演説を流し読みして、少し感心したことは、という程のことではないし、私などがそんなことをいっても無意味だが、「トランプは自分とは考え方が異なるが、それでも、トランプを支持した人々にも思いがあった」、と認めたことである。 「Yes,we d…

 一代限り

「改憲に向けて」とか「憲法を見直す」とか、えらく力を込めていっています。支持率の高い方が思い切って口にしてるのですから、やるつもりなのでしょう。「総決算」ということですから、退位の議論だけじゃなく空位の議論もするのでしょうか。「女性活躍社…

 中断して、単純な話

◯貧しい国からの移民は給料が安くても働く。ので、白人労働者が職を奪われる。ので、移民を追い出す。 ◯国内で安い労働者が雇えなくなった企業は工場を貧しい国に移す。と、国内の働き口が減る。ので、工場を移転させない。それでも外国で製造するなら、高い…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性8

「品のいい別嬪の奥さんと娘さんがいた」小屋を尋ねてみると、「思春期で胸も発達したお嬢さんが、まる裸で暮らしていたのです。小屋の暗がりに目が慣れてくる頃には娘さんは物陰に隠れてしまいます。」「奥さんは、乳房もあらわなほどボロボロに破れた服を…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性7

いつものことながら、寝る前に半分睡眼で書くブログ日記ですので、続き物といっても、前を読み返すわけでもなく、行く先も一貫性もなく申し訳ないのですが、何を書いていたかというと、そういえば、秦氏の発言のことでした。 事実関係を確認する能力は私には…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性6

そういうことをいったり書いたりしている人は、他にも昔からいますが、例えば「親が連れてきた」と聞いたり読んだりした読者や視聴者は、証拠は?とか、全てがそうだったのか?、とか問い返したり、それより何より、「だとすると、一体何故親は、愛するわが…

 帝国の慰安婦:安堵の共同性5

(途切れないように、短くても少しだけ書いておきます。) 前述の連続番組そのものには、通奏低音として「和解」というテーマがありましたが、総合司会者の高橋哲哉氏などが強調していたのは、とにもかくにも過去を隠ぺいすることなく、時効のない人道に対す…